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2022年02月

2022.02.24

職場のトラブル解決をサポート!個別労働紛争の解決制度を解説します

新型コロナウイルスの感染拡大で私たちの雇用環境は大きく変化しました。いまや「ウィズコロナ」とも言われ「新しいライフスタイル、新しい働き方」が求められる中、テレワークや在宅勤務を導入したという会社も多いのではないでしょうか。また、賃金カット、人員削減、解雇・雇止め、内定取消し等を迫られるケースも増加しています。こうした背景から、これまではトラブルとならなかった事柄についても企業における新たな労務問題として顕在化することが予想されます。
 
トラブルに直面した時、裁判で解決するのも1つの方法ですが、裁判以外にも、紛争解決の制度があることをご存じでしょうか。今回は、職場のトラブル解決をサポートしてくれる「個別労働紛争解決制度」「労働審判」について簡単にご紹介します。

1.個別労働紛争解決制度とは?

個別労働紛争解決制度とは、個々の労働者と事業主との間で起きた個別労働紛争について実情に即した迅速かつ適正な解決を図る事を目的とした制度で、①労働相談②都道府県労働局長による助言・指導、③紛争調整委員会によるあっせんの3つの制度があります。

①労働相談

各都道府県労働局や労働基準監督署等に設置されている総合労働相談コーナーにおいて、相談員が労働者・事業主からの相談に対応し、法令、裁判例等の情報提供を行う事により迅速かつ適正な解決を図る事を目的としている制度です。

②都道府県労働局長による助言・指導

都道府県労働局長が、民事上の個別労働紛争について、その紛争当事者に対して紛争の問題点を指摘して解決の方向を示す事により紛争当事者の自主的な紛争解決を促進する制度です。

③紛争調整委員会によるあっせん

紛争当事者の間に公平・中立的な第三者として労働問題の専門家である各都道府県労働局に設置された紛争調整委員会のあっせん委員が入り、当事者間の話し合いを促進する事により、紛争の解決を図る制度です。
引用:厚生労働省HP

労働者と事業主との個別労働紛争に対する解決制度として以上の3つの制度をご紹介致しましたが、他にも裁判所による調停や訴訟、労働審判制度というものもあります。続いては労働審判制度について触れていきます。

2.労働審判制度とは?

労働審判制度とは、解雇や賃金未払いなど、個々の労働者と事業主の間の労働関係トラブルを、適正且つ迅速に解決する為の制度です。通常の訴訟に比べて、簡易迅速に解決する事を目的に、2006年から開始された比較的新しい審判制度です。

労働審判は、裁判官(労働審判官)1人と労働関係に関する専門的知識、経験を有する労働審判員2人で構成された労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で事件を審理し、調停を試み、又は審判を行います。

具体的には、労働審判委員会が、まず調停という話し合いによる解決を試み、それでも話し合いによる解決が図れない場合は、審理の結果、認められた当事者間の権利関係と手続の経過を踏まえ、事案の実情に即した判断(いわゆる、労働審判)を行い、柔軟な解決を図る事を、その目的としています。

労働審判の終局方法として、①調停成立、②労働審判、③訴訟への移行という3つの方法があります。

①調停成立

話し合いがまとまると調停が成立し手続は終了します。 調停の内容は調書に記載され、条項の内容によっては強制執行の申し立てを行う事も出来るようになります。

②労働審判

話し合いがまとまらない場合は、労働審判委員会が、審理の結果認められた当事者間の権利関係と手続の経過を踏まえて、事案の実情に即した判断(労働審判)を示します。
労働審判に対して2週間以内に異議申立てがなければ、労働審判は確定して、その内容如何によっては、強制執行を申立てる事も出来るようになります。

③訴訟へ移行

労働審判に対して2週間以内に異議申立てがあれば、労働審判は効力を失い、訴訟手続に移行します。
引用:最高裁判所HP

3.まとめ

個別労働紛争解決制度、労働審判はともに、通常の訴訟に比べてコストと時間が掛からない、早期解決が期待できるというメリットがあります。当事者同士の話し合いによる解決が難しい場合は、利用してみてはいかがでしょうか。但し、このような紛争解決制度があるとはいえ、トラブルの発生を未然に防ぐよう、リスクマネジメントを行うことが重要です。お困りのことがございましたら是非弊社へご相談ください。


筆者紹介

人事部サポートSR(https://o-sr.co.jp/ 
「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。
給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。

2022.02.09

【初心者向け】障害者雇用促進法とは?

令和3年3月1日に障害者の法定雇用率の引き上げが行われた障害者雇用促進法。
こちらの法律は数多くの法改正が行われ、現在の形になっています。
そこで今回は障害者雇用促進法とはどんな法律かを初めて知る人にも簡単に解説していきます。

 1.障害者雇用促進法の概要

障害者雇用促進法は、障害者の雇用の安定を図ることを目的とする法律になります。
具体的には、事業主が障害者を雇用する義務をはじめ、障害のある人に対して職業指導、職業訓練、職業紹介などの方策を定めています。
また前述した通り、障害者雇用促進法は数多くの改正が行われており、1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」が元となっています。
引用:[障害者雇用促進法の概要]厚生労働省

 2.障害者雇用促進法での「障害者」の範囲

障害者雇用促進法においては、障害者の定義を、
「身体障害、知的障害、精神障害、その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう」

と定めています。具体的な範囲等は下記の図でご説明します。

上記の図の内、A,B,Cに当てはまる人が障害者の雇用率の算定対象となってきます。

また、次の章で記載するその他の職業リハビリテーションの推進や差別禁止と合理的配慮の提供義務はA,B,Cの人に限らずD,Eの人も対象となります。

3.障害者雇用促進法の具体的方策

障害者雇用促進法は主に以下3つの具体策があります。
1 障害者雇用率制度
2 差別禁止と合理的配慮の提供義務

3 職業リハビリテーションの推進

3-1障害者雇用促進法の方策①:障害者雇用率制度

障害者雇用率制度とは障害者の雇用の安定を図る為に、障害者雇用率に相当する人数以上の障害者を雇用しなければならないとする制度です。
5年に1度、社会の変化を反映するため見直しが行われ、2021年3月以降の事業主別の障害者雇用率は次のようになっています。
・民間企業…2.3%
・国、地方公共団体等…2.6%
・都道府県等の教育委員会…2.5%
 

企業が雇用すべき障害のある方の人数の計算方法

では、一体何人の障害者を自社では雇用しなくてはいけないのか。
実際に雇用すべき障害者の人数を、障害者雇用率を使って計算してみます。
 
・計算式
➡常用労働者の人数(短時間労働者は0.5人分としてカウント)×法定雇用率
小数点以下は切り捨て。
 
例:民間企業の場合
常用労働者100人(障害者も含む)
短時間労働者:50人(障害者も含む)
(100人+25人)×2.3%=2.875
➡小数点以下は切り捨てになるので、2人雇用となります。
 

ですが、障害者を数える際のカウントのルールがあり、障害の重さや働き方によって雇用すべき人数に変化があり、下記の図の通りになります。

先ほどの例に当てはめると、障害者雇用率を達成するには2人雇用が必要ですが、重度の身体障害者を雇用した場合1人で雇用率を満たすことになります。
 
また2021年12月現在、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければならない事になります。

3-2障害者雇用促進法の方策②:差別禁止と合理的配慮の提供義務

ここでは障害者に対して差別的扱いをしないこと、合理的な措置を講じることが企業の義務として定められています。
 
(1)差別禁止
賃金・教育訓練・福利厚生の利用その他の待遇について、障害者であることを理由に差別的な扱いを行う事を言います。
(例)
・単に「障害者だから」という理由で、求人への応募を認めない
・障害者に対してのみ不利な条件を設けること
 
(2)合理的配慮の提供義務
障害者が他の人と平等に生活を行えるように、障害の特性に配慮した措置を講じることを言います。
(例)
・ 車いすを利用する方に合わせて、机や作業台の高さを調整すること
・ 知的障害を持つ方に合わせて、口頭だけでなく文書・絵図を用いて説明すること
 

こちらは事業主にとって過重な負担となる場合には、合理的配慮の提供義務はありませんが、過重ではないのに対応や支援を行わない場合は「差別」と見なされます。

3-3障害者雇用促進法の方策③:職業リハビリテーションの推進

障害者雇用促進法の目的の1つとして、障害者の能力に応じた職業への就労を促し、職業生活における自立を実現することがあります。
この目的を達成するために、職業リハビリテーションの推進を行っており具体的には職業訓練や職業紹介などを行っています。
実施機関の代表的な場所として以下があります。
 
(1)ハローワーク
厚生労働省が全国500カ所以上に設置する公共職業安定所のことです。
障害がある人に対応する専門の相談員が配置されており、職業紹介や求職相談、就職後の職場定着支援などを行っています。
 
(2)地域障害者職業センター
障害のある人に対して専門的な職業リハビリテーションを提供している施設です。
職業カウンセラーが在籍し、職業評価、職業指導、事業主への雇用管理のアドバイス等を行っています。
 
(3)障害者就業・生活支援センター
障害者の職業生活における自立を図るため、就業面と生活面の両方における一体的な支援を行う機関です。
 

4.障害者を雇用する企業のメリット

(1)障害者雇用調整金
常時雇用している労働者数が100人を超える事業主で、法定雇用率以上の障害者を雇用している場合に支給されるものになります。
 
支給額は以下の通り、常用労働者の人数によって異なります。
➡月額27,000円×超過人数分の調整金
 
(2)報奨金
常時雇用している労働者数が100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度間合計数が一定数(各月の常時雇用している労働者数の4%の年度間合計数又は72人のいずれか多い数)を超えて障害者を雇用している場合に支給されます。
 
支給額は以下の通り、常用労働者の人数によって異なります。
➡月額21,000円×超過人数分の報奨金
 
(3)助成金
障害者に雇用する場合に発生する特定求職者雇用開発助成金や職場定着の措置を実施した場合に発生する障害者雇用安定助成金などがあります。
他にも多くの助成金がありますので下記のリンクをご参照ください。

5.障害者を雇用しなかった場合

(1)障害者雇用納付金

常時雇用している労働者数が100人を超える事業主で法定雇用率を達成していない場合、下記の障害者雇用納付金が徴収されます。
納付金の額=(法定雇用障害者数-雇用障害者数)の各月の合計数×月額50,000円
 

またこの納付金は障害者雇用の義務を果たしている企業と果たしていない企業の経済的な負担を調整するために支払うものであり、「罰金」ではありません。

 (2)改善指導が入る

ハローワークより「障害者の雇入れに関する計画」の提出が求められます。
それでも改善を行わない企業に対しては、企業名の公表を前提とした労働局・厚生労働省からの行政指導が入ることがあります。

 

(3)企業名が公表される

行政指導が入っても雇用状況の改善を行わない場合は、企業名が公表されてしまいます。

障害者雇用に取り組んでいない企業として、企業名やその状況が公にされることは、企業の社会的責任を果たせていないことを示すこととなり、社会的信頼を低下させてしまいます。

6.その他の制度

(1)認定制度

障害者の雇用の実施状況などが優良な中小事業主(常時雇用する労働者が300人以下)を厚生労働大臣が認定する制度で、優良事業主に認定されるためには、厚生労働省が定めた認定基準を全て満たす必要があります。

認定事業主となることのメリットとしては以下があります。

  • 障害者雇用優良中小事業主認定マーク(愛称:もにす)が自社の商品や広告などに使用できる。
  • 働き方改革推進支援資金における低利融資の対象となる。
  • 認定事業主の情報は、厚生労働省及び都道府県労働局のホームページに掲載され、社会的認知度を高めることができる
 

(2)特例給付金制度

週10時間以上20時間未満で働く障害者雇用を行った場合に対し、従業員数に応じた支給額が支給される給付金です。

具体的な支給額等は下記をご参照下さい。

まとめ

いかがだったでしょうか?

「障害者雇用」は着実に広がりつつあるものの、未だ前向きに検討できない事業主様は数多くいらっしゃいます。

まずは、自社の障害者雇用率と実雇用率を把握し、受け入れ態勢が整っているかどうか、整っていなかった場合、配属先や受け入れ体制、採用手法などを見直し・検討されてみてはいかがでしょうか?

筆者紹介

 社会保険労務士法人 HALZ(https://halz.co.jp/
「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。

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