HR-Get

2022年09月

2022.09.28

人事担当者必見!書類の保管期限について

はじめに

最近は様々な書類のペーパーレス化が進んでいますが、まだまだ人事労務部門においては書類を使う場面が多く、保管しなくてはならない書類はたくさんあるかと思います。そしてその書類には、それぞれに保管しなければならない期間が決まっています。

人事労務において扱う主な書類について、その保管期間についてまとめてみました。

書類を保管する期間を知り、正しく扱いましょう。

社労法務システムの紹介

【目次】

雇用保険に関する書類

雇用保険法施行規則第143条には、
「事業主及び労働保険事務組合は、雇用保険に関する書類(雇用安定事業又は能力開発事業に関する書類及び徴収法又は労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則による書類を除く。)をその完結の日から二年間(被保険者に関する書類にあつては、四年間)保管しなければならない。」と明記されています。

「雇用保険に関する書類」はその完結の日(退職、解雇や死亡の日)から2年保管する必要があるということになります。

人事労務部門でよく見かける「雇用保険の被保険者に関する書類」といえば、資格取得等確認通知書、離職票、休業開始時賃金月額証明書などがあり、こちらはその完結の日から4年保管が必要となります。

労働保険に関する書類

労働基準法109条では、
「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。」と明記されています。(経過措置として、当分の間は3年が適用されます。)

労働保険に関する書類はその完結の日から5年保存する必要があるということになります。

主な書類の起算日は以下の通りです。
雇用契約書…退職・解雇・死亡から5年
出勤簿...退職…解雇・死亡から5年
労働者名簿…退職・解雇・死亡から5年
タイムカード…最後の記入日から5年
賃金台帳…最後の記入日から5年
労働保険に関する書類は109条に違反すると30万円以下の罰金になる可能性があります。

労働保険の徴収・納付に関する書類

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則72条では、
「事業主若しくは事業主であつた者又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体は、法又はこの省令による書類を、その完結の日から三年間(第六十八条第三号の帳簿にあつては、四年間)保存しなければならない。」と明記されています。
労働保険の徴収・納付に関する書類である、成立届、概算保険料申告などは3年保管が必要になります。

労災保険に関する書類

労働者災害補償保険法施行規則51条には、
「労災保険に係る保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体は、労災保険に関する書類(徴収法又は労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則による書類を除く。)を、その完結の日から三年間保存しなければならない。」と明記されています。

労災給付の請求書類である、療養補償給付たる療養の給付請求書等などは3年保管が必要になります。

社会保険に関する書類

健康保険法施行規則34条には、
「事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日より二年間、保存しなければならない。」

厚生年金保険法施行規則28条には、
「事業主は、その厚生年金保険に関する書類を、その完結の日から二年間、保存しなければならない。」と明記されています。

社会保険に関する書類はその完結の日(退職、解雇や死亡の日)から二年間保管する必要があるということになります。
社会保険に関する書類には、健康保険(厚生年金保険)資格取得(喪失)確認通知書、被保険者標準報酬決定通知書などがあります。

年末調整に関する書類

年末調整に関する書類は、翌年1月10日の翌日から7年間保管する必要があります。
一般的には書面での保存がされておりますが、従業員から電子データで提出された場合には、会社は電子データのまま保存することを選択することも可能です。

具体的には下記の書類になります。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の配偶者特別控除申告書
・給与所得者の基礎控除申告書(令和2年分以降)
・給与所得者の保険料控除申告書
・所得金額調整控除申告書(令和2年分以降)
・退職所得の受給に関する申告書
・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
※税務署長からこれらの書類の提出を求められた場合には、提出する必要があります。
(所得税法施行規則 第76条の3、77、77の4、措規18の23、18の23の3)

保存期間が過ぎた文書の扱い
保存期間が過ぎた文書は破棄して問題ありません。
ただし、人事の書類には多くの個人情報が記載されています。情報漏えいをさせないように紙の書類はシュレッダーを使用したり、専門業者に依頼して溶解するなど適切に破棄する必要があります。

まとめ

上記でまとめた保管期限を正しく守るのはもちろんですが、中には様々な個人情報、マイナンバーが記載されているものもあり取り扱いには注意が必要です。保管期限を守り、保管期限を過ぎたら迅速に破棄すると安心でしょう。

社労法務システムの紹介

社会保険労務士法人 HALZ(https://halz.co.jp/

「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。

2022.09.14

高年齢者雇用のメリットは?活用できる助成金は?

社会保険の適用拡大や雇用保険のマルチジョブホルダー制度により今後よりいっそう高齢者の雇用が増えていくことが予想されます。
そんな中、改めて実際に高齢者を雇用する際に抑えておきたいメリットデメリット・活用できる助成金等について紹介します。

1.高年齢者雇用安定法について

高年齢者雇用安定法とは?

「少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律(厚生労働省)」であり、1971年に「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」として制定され、1986年の改正で現在の「高年齢者雇用安定法」と名称の変更が行われました。1998年に60歳以上の定年が義務化されるなど、これまでも法改正により段階的に雇用を求める年齢の引き上げを行ってきました。

令和3年4月法改正について

今までの65歳までの雇用確保措置(義務)に加え、就業機会を確保するため、65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置(努力義務)が施行されました。

改正前 改正後
令和3年4月1日施行
65歳までの雇用確保措置(義務)

・65歳までの雇用確保措置(義務)
65歳~70歳までの高年齢者就業確保措置(努力義務)←NEW

(以下いずれかの措置を講じなければならない)

① 65歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 65歳までの継続雇用制度の導入

(以下いずれかの措置を講ずる努力義務)

① 70歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)

④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

2.高齢者雇用のメリットとデメリット

メリット

・働き手の確保
→少子高齢化で思うように採用ができず人材確保が困難になっている中、高齢者雇用は人材不足を解消するための有効な解決策となります。

・高い労働意欲
→現在収入のある仕事をしている60歳以上の方で36.7%が「働けるうちはいつまでも」働きたいという就業意識を持っているようです。(内閣府調べ)

参考URL:第1章 高齢化の状況(第2節 1)

・経験、スキル、即戦力としての雇用
→今まで長く働いてきたことで得た経験やスキルを活用することができ、即戦力となりえます。
経験豊富なことを生かし、若手の育成などを行うことで会社全体の活性化も見込めます。

デメリット

・IT対応への難しさ
→今後ますますITスキルが求められる中で、高齢者の中にはアナログ派な方も多くいらっしゃいます。

再教育の必要や、限られた仕事しか任せられないということも考えられます。

・健康面での不安
→業務によっては体への負担が大きいものもあり、以前と同じ労働時間働くことも困難な場合があります。
また持病や急な病気により突然の退職等のリスクも考えられます。

・多様な働き方への対応
→ひとくくりに高齢者といっても働く目的は様々です。高齢者を雇用するにあたり、一人ひとりに合わせた働き方を考える必要があり、今まで導入していなかった企業も短時間勤務など様々な働き方を認め運用していくことも考えなければなりません。それに伴い賃金制度の見直しの必要が出てくる可能性があります。

・人間関係への配慮
→再雇用をした場合、今まで部下であった方が上司になることも考えられ、それによりマネジメント機能の低下の可能性があります。また、メリットにあげた「若手の育成」に関しても、若手をどう扱ったらいのかわからないなど会社のフォローが必要な場面が増えることも考えられます。

3.高齢者雇用で使える助成金や給付金について

①【雇用の継続・促進】高年齢雇用継続給付金

【高年齢雇用継続給付とは?】
高齢者雇用継続給付は雇用保険法で定められており「雇用の継続が困難となる事由が生じたとき」に支給される雇用継続給付であり、60歳以降の働く意欲のある高齢者の給与額低下を援助することが目的とされています。

【種類と対象者】

給付金種類 受給要件
高年齢雇用継続基本給付金

・基本手当を受給していない方
・高齢を理由とし60歳以降の給与額が60歳時点の給与額と比べて75%未満に下がった
・60歳以上65歳未満の一般雇用被保険者の人
・雇用保険を5年以上払っていた期間がある人

高年齢再就職給付金

・基本手当を受給し再就職した方
・再就職後の給与額が60歳時点と比べて75%未満に下がった
・失業保険の支給残日数が100日以上残っている人
・再就職した際に、1年以上雇用されることが確実な人
・雇用保険を5年以上払っていた期間がある人

【給付額】

賃金低下率が61%以下の場合
支給月に支払われた賃金額×15%
賃金低下率が61%超75%未満の場合
-183/280×支給対象月の賃金+137.25/280×賃金月額

【段階的縮小と廃止】
高年齢者雇用安定法の改正や「同一労働同一賃金」が法制化されたことにより、すべての労働者の公正な待遇を確保できるような制度が整ったことにより「令和7年度に60歳に到達する人」から給付率を半減させ、その後は段階的に廃止となる方針です。
これにより今までの給与制度では運用が困難になることが考えられますので、早めの制度の見直しをお勧めします。

【参考:厚生労働省】雇用継続給付について

②【雇用時】特定求職者雇用開発助成金【60歳以上、65歳以上の雇用】

労働者の雇用維持や、再就職支援などを目的とした助成金で、雇用されることが困難と思われる障害者、高齢者、母子家庭の母親などを一定の条件下で雇用した場合に受給(今回は高年齢雇用に関係する「特定就職困難者コース」「生涯現役コース」のみ)
種類 受給要件(一部抜粋) 支給額
特定就職困難者コース(高齢者の場合)
・60歳以上65歳未満の高齢者を雇用
・短時間労働者かどうか、企業規模等で支給額が異なる

短時間勤務者以外:30万円×2期=60万円(1年)

短時間勤務者(週所定20時間以上30時間未満):20万円×2期=40万円(1年)

※中小企業以外は金額が異なります

生涯現役コース

・満年齢が65歳以上の離職者で、1年以上継続して雇用するのが確実である
・ハローワーク等の紹介により雇用

短時間勤務者以外:35万円×2期=70万円(1年)

短時間勤務者:週所定20時間以上30時間未満):25万円×2期=50万円(1年)

※中小企業以外は金額が異なります

③【雇用時】中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)

中途雇用の拡大を図る取り組みをしている事業主に支払われる助成金です。
「中途採用拡大コース」「UIJターンコース」「生涯現役起業支援コース」の3つのコースがあり、さらに「中途採用拡大コース」には「中途採用率の拡大」「45歳以上の方の初採用」「情報公表・中途採用者数の拡大」の3つに分かれています。(今回は「45歳以上の方の初採用」のみ)
支給額
45歳以上の方の初採用

1事業所あたり60万円または70万円
(支給対象者の中で雇用時の年齢が60歳以上であって、かつ雇入れ日から6か月以上経過している場合70万円)

中途採用拡大助成を受けてから生産性が向上した場合、追加で「生産性向上助成」の1事業所当たり30万円の支給を受けることができます。

④【雇用改善】65歳超雇用推進助成金【60歳以上の被保険者対象】

定年引上げや雇用管理制度の整備など、高齢者の雇用条件等の改善を図る事業主への助成金です。
65歳超継続雇用促進コース ・65歳以上への定年引上げ
・定年の定めの廃止
・希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入
・他社による継続雇用制度の導入のいずれかを導入した場合

定年引上げの措置や年齢の引き上げ幅等に応じて金額が異なる

例)定年を70歳へ改定
60歳以上の被保険者10人以上→105万円

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース 高年齢者賃金や人事処遇制度、労働時間、健康管理制度等の雇用管理制度整備等を実施した場合

(中小企業の場合)
措置に係る経費の60%
(生産性要件を満たす場合75%)
※上限額あり

高年齢者無期雇用転換コース 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた場合

(中小企業の場合)
48万円/人
(生産性要件を満たす場合60万)
※10人限定

【参考:厚生労働省】65歳超雇用推進助成金

5.まとめ

今後は70歳までの雇用が「努力義務」から「義務」となっていくことが予想されます。少子高齢化も進み、人材確保が困難になる中で、働く意欲がある高年齢者をどれだけ雇用できるかどうかは企業にとって重要な課題ではないでしょうか。

筆者紹介

 社会保険労務士法人 HALZ(https://halz.co.jp/

「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。
給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。



記事検索

ページの先頭へ