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2021年10月

2021.10.27

【社労士に聞く】持病を持つ社員の対応について

 安全衛生・リスクマネジメントQ&A

<質問>持病を持つ社員の対応についてどのようにすればいいでしょうか

持病をもって入社したパート社員について、持病を考慮し事務作業をメインでお願いしていましたが、コロナ感染リスクから、主治医より外出を控えるようにとの指示があったため、在宅勤務とし、出社を伴わない業務へ業務内容の変更をお願いしているのですが、本人は「出社できる」と言い、応じてもらえません。また、持病が悪化しているようで業務が滞っており、他の社員への負担が増加しています。

会社としてどのように対応すべきでしょうか。

<社労士の答え>

雇用契約を結んだ段階から会社はその社員の持病に対しても安全配慮義務を負っています。これには「病気になることを防ぐ」だけでなく「病気の悪化を防ぐ」ことも含まれるため、持病の悪化防止についても配慮や対策を講じる必要があります。

安全配慮義務と業務命令

本人の言葉通り出社させ、病状が悪化した場合には、安全配慮義務を怠ったとして、会社が責任を問われることになりかねません。まずは、本人の健康状態を的確に把握するため、面談等を実施し、現在の労働条件や業務負荷が適正であるか否かの判断と、それを踏まえた上でどのような対策を講じていくべきか、産業医等へ相談してみてはいかがでしょうか。

また、今回の措置が病気治療という目的に照らして合理的で相当な内容であり、就業規則等規定に基づく業務命令であれば、社員は業務命令に従う義務があり、企業が安全配慮する上では社員も企業に対して「安全確保に協力する義務」を負いますので、健康管理上必要な措置に対し協力しなくてはなりません。業務に支障をきたしているようであれば、健康管理措置への協力が労働者の義務となります。

従って、業務命令違反として懲戒処分を科すということも考えられますが、あくまでも本人の健康への配慮である点を丁寧に説明し、理解を得ることをお勧めします。

尚、持病の悪化に伴い、正常な勤務に耐えられないと判断できる時には、退職勧奨や解雇の取り扱いも可能ではありますが、それは最終手段です。企業には安全配慮義務と同じく「解雇回避努力義務」もあるため、持病に対する配慮や休職等の手順を経た上で、それでも状況が改善しない時は、退職勧奨や解雇も有り得ると考えるのがよいでしょう。

人事の視点:従業員とのコミュニケーションや安全・健康管理のフローを構築しましょう

持病を抱える人にとって「持病のせいで仕事を失ってしまったら困ってしまう」という感覚は拭えないものだと思います。その心理作用から、会社側の配慮を受け入れなくなり無理をし病気を悪化させてしまっては元も子もありません。

従業員と会社の双方の意思が意図しない方向へ進まないようにするために相互理解は不可欠です。また、2021年4月より改正高年齢者雇用安定法が施行されます。歳を重ねていくにつれ持病を抱える人は増加します。そういった状況の中での適切な対応が求められます。従業員とのコミュニケーションはもちろんのこと、産業医との連携など健康管理のフローを構築しましょう。

参考URL:治療を受けながら安心して働ける職場づくりのために(厚生労働省)

筆者紹介

社会保険労務士法人 HALZ(https://halz.co.jp/

「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。

2021.10.20

【社労士に聞く】介護休暇に取得制限を設けることは違法か

 労務管理Q&A 

<質問>所定労働時間によって、介護休暇に取得制限を設けることは違法になりますか?

令和3年1月1日より時間単位での介護休暇の取得が可能になりましたが、取得の最小単位が半日である現在、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は半日単位の介護休暇は取得できないことになっています。それは今後も変わらないでしょうか。

また、「所定労働時間が4時間以下の者は1日単位とする」というように、弊社の就業規則では介護休暇の取得方法に制限を設けておりますが、こちらは変更をしなければ法違反となりますか。

<社労士の答え>

令和3年1月1日以降、所定労働時間により介護休暇の取得方法に制限を設けることは法違反となります。

本改正はすべての労働者が1時間の整数倍で介護休暇を取得できるようになるものです。所定労働時間や役職によって取得できる制度に差を設けたり、会社として取得できる時間の最小単位を1時間以上に制限することはできません。

育児・介護休業法施行規則等が改定され、介護休暇の時間単位での取得が令和3年1月1日より施行

これにより、取得の最少単位が半日から1時間となり、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者が取得できなかったものが、全ての労働者が取得できることになります。

時間単位で介護休暇を取得する場合、休暇1日分となる時間数は1日の所定労働時間数となります。1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数がある場合は1時間に切り上げます。1日の所定労働時間数が一定でない(シフト制など)場合は、1年間における1日の平均所定労働時間数を1日分の時間数とし、端数はやはり1時間に切り上げます。

半日単位取得の取扱い

省令から半日単位取得の条文が削除されたため、就業規則からも半日単位取得は削除することになります。労働者の手間を省く目的で、半日単位の時間数や、午前・午後で異なる半日単位の時間数を目安として示すことは可能ですが、あくまでも労働者の求める時間数の取得を認めることになります。

就業時間の途中から時間単位の休暇を取得し就業時間の途中に再び戻る、いわゆる「中抜け」について 

法令では「中抜けなし」の時間単位休暇を認める内容ですが、法を上回る制度として「中抜けあり」の休暇取得を認める配慮が求められています。

人事の視点:相談しやすい環境を整えましょう

子の看護休暇に比べ、介護休暇は取得実績が少ない企業も多いでしょう。社内で実績がないため、介護休暇の対象家族はどこまでなのか、また、要介護認定が必要なのか等、自分は取得可能か否かが分かっていない従業員が多くいると思われます。育児休業や子の看護休暇に比べ認知度が低い介護休業・休暇ですが、高齢化社会が進む今後は、介護に携わる従業員も増え、必要な制度になっていくはずです。 
介護はケアマネージャーとの面談や、入院・手術の付き添いなど、事前に予定が分かるものも多く、業務に合わせて計画的にスケジュールを決めることが出来る部分について、時間単位での取得は非常に有効的となります。

介護離職となる前に、会社から介護休暇に関する情報を発信し、相談しやすい環境をつくることが今後不可欠といえるでしょう。

筆者紹介

    人事部サポートSR(https://o-sr.co.jp/

「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。
給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。

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