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2022年07月

2022.07.13

【2022年5月1日改正】コロナが原因で退職した際に失業手当が受けやすくなりました

2022年5月1日より、新型コロナウイルス感染症の影響で事業所が休業し勤務時間が減少したことによる退職者が、一定の要件を満たせば失業手当(雇用保険による失業等給付の基本手当)を2~3か月の給付制限を受けることなく受給することが可能になりました。

この記事では、そもそも失業手当というものは何か、そして何が変わったのかについて見ていきます。


1.失業手当とは何か

失業手当というのは正式な呼び方ではありません。しばしば失業手当と言われているものは、雇用保険によって行われている、労働者のための給付金のうちの1つです。雇用保険は、失業や育児のための休業など、働く意思のある人が様々な理由で一時的に働くことが困難な状態になった場合に、給付を行って労働者の生活を安定させることを主な目的とした保険制度です。

雇用保険による給付金は様々なものがありますが、その中でも失業等給付のうち求職者給付の「基本手当」というものが失業手当とよく呼ばれているものにあたります。失業等給付は労働者が失業した場合及び雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に給付を行う制度です。この基本手当の他にも、下図のような様々な手当や給付金制度があります。

出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要」

2.基本手当の詳細

今回の法改正で影響するのは、上記の「求職者給付」の「基本手当」についてです。
「基本手当」は、雇用保険の被保険者が離職し、労働する意思や能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にある場合に給付されるものです。

受給要件

原則として、離職の日以前2年間に 12 か月以上被保険者期間があることが要件となります。この12ヶ月の数え方は暦上の1か月の区切りではありません。離職日から1か月間ごとに区切ってできた期間ごとに、11日以上の賃金支払い基礎となった日数があれば被保険者期間1か月として計算します。

特定受給資格者又は特定理由離職者の場合は、上記を満たさない場合でも、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あれば受給要件を満たします。

就職困難者・特定受給資格者・特定理由離職者

基本手当の給付対象者の中で、様々な事情により受給に関して優遇措置を受けられる場合があります。それが上表にも書いてある就職困難者、特定受給資格者、特定理由離職者の3つです。どれに該当するかによって基本手当受給の際に受けられる措置に違いがあります。

就職困難者

身体障害者・知的障害者・精神障害者・保護観察中・その他社会的事情により就職が著しく阻害されている者

特定受給資格者

倒産・解雇等により離職した者

特定理由離職者

下記のいずれかに該当する者(①、②で若干取り扱いが異なります)

① 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、更新を希望したにもかかわらず当該労働契約の更新がないことにより離職した者

② 正当な理由による自己都合離職者(心身障害や親の介護、本人以外の理由による通勤困難など)

「特定受給資格者」・「特定理由離職者」の詳細については、下記サイトもご参照ください。
ハローワークインタネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

給付額

基本手当の給付額は、次の通り計算した基本手当日額に給付日数を掛けた金額が支給額になります。ただし、年齢によって基本手当日額に上限があります。(2022年6月現在)
基本手当日額=退職前6カ月間の給与総額÷180×(45%~80%)
※割合は賃金額・年齢によって異なる
※基本手当日額の上限額
30歳未満      :6,760円
30歳以上45歳未満:7,510円
45歳以上60歳未満:8,265円
60歳以上65歳未満:7,096円

基本手当の給付日数

1.特定受給資格者及び一部の特定理由離職者
※特定理由離職者のうち、上記①の要件に該当する者のみ対象

2. 1及び3以外の離職者 ※特定理由離職者のうち、上記②の要件に該当する者はこちら

3.就職困難者

出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数

受給期間と給付制限

受給期間は、原則として離職の日の翌日から起算して1年間ですが、受給期間の範囲内のうち上図の給付日数分が、実際に給付が行われる日数になります。そのため、受給期間を過ぎてしまうと、給付日数が残っていても、残りの期間は支給対象外となる点は注意が必要です。

また、会社を自己都合で退職した場合、基本手当の受給手続日から原則として7日経過した日の翌日から一定期間、基本手当を受給できない期間が発生します。これを「給付制限」といいます。なお給付制限は原則3か月間ですが、令和2年10月に法改正があり、「自己の責めに帰すべき重大な理由」がある場合を除いて、5年間で2回までは給付制限期間が3か月から2か月に短縮されるようになりました。

なお、「特定受給資格者」・「特定理由離職者」は給付制限の対象とならず、受給資格決定後7日間の待期期間が終わればすぐに支給期間が開始します。

3.改正内容

2022年5月1日より、新型コロナウイルス感染症の影響による離職について「特定理由離職者」となる要件が追加されました。

・新型コロナウイルス感染症の影響により事業所が休業(部分休業も含む)し、概ね1か月以上の期間、労働時間が週20時間を下回った、または下回ることが明らかになったことにより離職した方

これに該当した方は「特定理由離職者」として、給付制限の対象外となるなどの措置を受けることができるようになりました。なお、労働契約上に労働時間が明示されていない場合であっても、労働時間が減少し、上記の要件を満たしている場合は対象となります。

4.おわりに

新型コロナウイルスの影響は、まだまだ終わっていない状況です。「withコロナ」という言葉をしばしば耳にするように、それがあることを前提に生活していかざるをえません。個人だけでなく社会もまたコロナがあることを前提に日々変化し続けています。企業の人事担当者は、この変化し続ける状況を日々把握し、日ごろの人事・労務管理に結びつける必要があります。

筆者紹介

社会保険労務士法人 HALZ(https://halz.co.jp/

「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。

2022.07.06

【令和4年度は7月11日(月)まで】締切迫る!労働保険年度更新はお済みですか?

今年も労働保険の年度更新を迎えました。毎年のことではありますが年に一度の手続きのため手間取ることもあるのではないでしょうか。

そこで今回は、そもそも労働保険とは何ぞや? から令和4年度労働保険年度更新における注意点を解説します。

1.労働保険とは?

労働保険とは労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の総称です。

労災保険は、従業員の通勤中や勤務中のケガや病気等に対して、必要な給付をするための保険制度です。業種・規模を問わず従業員(パートタイマー・アルバイト含む)を1人でも雇ったら成立(加入)手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません。

雇用保険は、育児休業給付、介護休業給付等の雇用継続給付や教育訓練給付に加え、従業員が失業したときのための給付を行う保険制度です。雇用保険の加入要件を満たす従業員がいる場合に加入します。

保険給付はそれぞれ別々に行われますが、保険料の申告・納付等、徴収に関しては「労働保険」として一体のものとして取り扱います。


2.労働保険料とは?

健康保険等の社会保険と同様に労働保険も保険給付を受けるためには保険料を納付しなければなりません。社会保険の保険料は会社と従業員の折半ですが、労働保険の保険料は労災保険が全額会社負担、雇用保険は会社の事業内容によって定められている保険料率と負担割合によって、会社と従業員(雇用保険被保険者)がそれぞれ負担することになっています。

労働保険料の額は、原則として以下の計算式により算出されます。

(全従業員に支払った賃金の額(賃金総額))×(保険料率)
※雇用保険は、被保険者以外の賃金は除外されます。


労災保険のメリット制とは?

労働災害(労災)発生リスクは、同一業種であっても事業場の環境等によって異なります。労災保険のメリット制は、一定規模以上の会社について、労災発生リスクに応じた公平な負担になるよう、事業場での労災発生状況に応じて保険料または保険料率を調整することを目的とした制度です。端的に言えば、労災発生率が高ければ保険料は高くなり、反対に発生率が低ければ保険料は低くなります。(言うなれば自動車保険と同じ理屈です)

※詳細は厚生労働省パンフレット「令和4年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方」P.15をご覧ください。


3.労働保険の年度更新とは?

労働保険料は、4月1日から翌3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます)に支払われる予定の賃金総額を概算して前払いすることになっています。この時納付した保険料はあくまでも概算の金額です。実際に賃金が支払われた後でないと保険料は確定しません。従って、保険料が確定した後、精算する手続きが必要となります。これがいわゆる「労働保険の年度更新」です。


原則として毎年6月1日から7月10日までの間に、前年度の確定保険料と今年度の概算保険料をあわせて申告し、保険料を納付します。労働保険に加入している限り、年に1回、必ず更新手続きを行わなくてはなりません。

4.令和4年度の注意点

年度途中での雇用保険料率変更

令和4年度は雇用保険料率が年度途中の10月で変更になるため、令和4年4月1日~9月30日の概算保険料額と令和4年10月1日~令和5年3月31日の概算保険料額を別々で算出し、その合計額を令和4年度の概算保険料額として申告・納付することになります。それに伴い、都道府県労働局から届く申告書の概算・増加概算保険料算定内訳の⑬保険料率欄には、労災保険率のみが印字され、雇用保険料率は空欄になっています。雇用保険分の概算保険料は、申告書に同封されている「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」を使用して算出したものを申告書に転記します。


尚、厚生労働省の年度更新申告書計算支援ツールでは、令和3年度の確定賃金総額を入力すると自動で令和4年度概算保険料(雇用保険分)の算定基礎額に反映され、雇用保険料率も4月~9月の料率を入力すれば自動的に10月~3月の料率に反映されるので、こちらを利用するのもよいでしょう。


マルチ高年齢被保険者の賃金算入

令和4年1月1日に施行された雇用保険マルチジョブホルダー制度により雇用保険被保険者(マルチ高年齢被保険者)となった従業員がいた場合、加入日から雇用保険賃金総額を算入する必要がありますので、漏れが無いように注意しましょう。


※雇用保険マルチジョブホルダー制度については下記参照

QA方式の電子申請様式導入

令和4年度の年度更新より、従来の申請書形式の電子申請様式に加えて、新しい電子申請様式「QA方式」が導入されました。QA方式とは、様式の左側に項目名、右側に項目の説明と入力欄が表示される、一問一答形式の電子申請様式のことです。どちらの様式で電子申請するかは申請者が任意に選択することが可能です。


5.まとめ

令和4年度の労働保険の年度更新は例年と計算方法が異なりますので、都道府県労働局から届いたパンフレットや厚生労働省HPできちんと確認したうえで対応するようにしましょう。

筆者紹介

 社会保険労務士法人 HALZhttps://halz.co.jp/
「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。

給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。

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