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休業補償の計算方法と勘違いが多い休業の定義とは

休業補償の計算方法と勘違いが多い休業の定義とは

 <目次>

みんな勘違いしている休業の定義

休業補償と休業手当の違い

休業補償の計算方法

休業手当の計算方法

コロナの影響で休業になった場合

まとめ

業務中のケガや病気で仕事を休まないといけなくなったときに支給される休業補償。
実際に何かあった場合、休業補償に関する知識がなければ困ることになります。

さらに、今は新型コロナウイルスの影響で休業する労働者が後を断ちません。

本記事では、従業員の生活を守るために休業補償の計算方法と、多くの方が勘違いされている休業の定義をご紹介します。

もしものときに備えて、今のうちに正しい知識を身につけておきましょう。

多くの人が勘違いしている休業

「休業」という言葉は、単に「業務を休む」と思っている方が多いのではないでしょうか。

もちろん間違ってはいませんが「休業」には明確な意味があります。

休業の定義は「もともと出勤だったが労働できずに休む」ことです。

休業の他に「休暇」という表現もありますが、休業と休暇は労働基準法で明確に区分されていません。

似たような言葉である休日は「所定労働日ではない日の休み」を指し、休業や休暇と全く別の意味を持ちます。

休業とは

先述で休業とは「もともと出勤だったが労働できずに休むこと」と説明しましたが、具体的には「労働者本人に働く意思や能力があるのに労働できないこと」を指します。

代表的な休業は業務中のケガや病気・産前産後・育児・介護などです。天災時や会社側の都合で労働者を休業させるケースもあります。

また、休業の種類によって労働していない期間の補償内容はさまざまです。

休業補償と休業手当の違い

労働できない期間を補償するために「休業補償」と「休業手当」という2つの制度があります。この2つには類似点が多いものの、適用されるケースや補償内容が全く違います。

労働基準法でも違いが明記されているため、休業する際は自分がどちらに該当するかをしっかりと見極めなければなりません。

たいてい休業補償は「業務上のケガや疾病」で支払われるケース、そして休業手当は「会社都合の休業」で支払われるケースです。補償額もそれぞれ異なり、休業補償の場合は給与の60%が支払われます。一方、休業手当の場合は給与の60%〜100%が支払われます。

休業補償とは


休業補償とは、労働者が業務中または通勤中にケガをしたり、病気にかかったりした場合に支払われる補償です。

休業補償は、労働基準法第75条1項で次の通りに定められています。

「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。」

また、労働基準法第76条1項では「労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。」と定められています。

つまり、業務によってケガや病気を負ってしまった場合は、従業員に平均賃金の60%を支給します。なお、休業補償は労災保険から支給されるため、課税の対象にはなりません。

休業手当とは


休業手当とは、会社の都合により労働者を休業させた場合、義務として支払わなければならない補償です。

休業手当は、労働基準法第26条で次のように定められています。

「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」

「使用者の責に帰すべき事由」とは一般的に、経営不振や設備の不備など、事業主の都合によるものを指します。ただし、自然災害でオフィスが使えなくなるといった不可抗力によって仕方なく従業員を休業させる場合は「使用者の責に帰すべき事由」に該当しません。

休業手当では事業主が平均賃金の60%以上を支払います。労働に対する賃金として扱われるため、課税の対象になります。

休業補償の計算方法

休業補償の計算をする前に、従業員が給付対象であるかどうか確認をしましょう。

休業補償を受給するためには3つの条件を満たす必要があります。


・療養中であること。治癒後の外科処置で休む期間は補償期間から外れます。

・働けない状態であること。軽度な作業に参加できる場合は支給する必要はありません。

・賃金を受け取っていないこと。事業主が従業員に賃金を支払っていると支給する必要はありません。

休業補償の基礎計算

休業補償給付の計算方法は「給付基礎日額の60% × 休業日数」です。

また休業補償では、休業補償給付とは別に「休業特別支給金」が支給されます。この計算方法は「給付基礎日額の20% × 休業日数」です。

つまり、休業1日につき給付基礎日額の80%(休業補償給付の60%+休業特別支給金の20%)が支給されます。

ただし、所定労働時間の一部分で労働した場合は、その働いた分の金額が控除されます。

休業補償給付は給付基礎日額を元に計算される

給付基礎日額とは、労働基準法の平均賃金に相当する額を指します。

休業補償の金額を計算するためには、一日の平均賃金を算出しなければなりません。

平均賃金の計算方法は後ほどお伝えします。

算出した平均賃金を元に「× 0.6=補償給付」「× 0.2=特別支給金」を算出します。

なお、休業4日目以降、労災保険から支給される給付額1日当たりで算出される1円未満の端数は切り捨てです。

休業手当の計算方法

休業手当の計算方法は「平均賃金 × 60%以上×休業日数」です。

次に平均賃金の算出方法を解説します。

平均賃金の計算方法

平均賃金は「事由発生した日以前3ヶ月間にあたる賃金の総額 ÷ 3ヶ月間の暦日数」で算出します。

例えば3ヶ月の賃金総額が60万円で3ヶ月間の暦日数90日の場合、一日の平均賃金は以下のように計算されます。


60万円 ÷ 90日=6,666円66銭 

※1日の平均賃金を算出し、銭未満の端数が生じたときは切り捨てる(昭22.11.5基発232号)


原則3ヶ月間の暦日数が用いられ、日給制、時間給制、出来高払制、請負制の場合は原則での金額と3ヶ月間の労働日数で計算される最低補償額とを比べ高い方を選びます。

賃金締切がある場合締切日ごと に、通勤手当、皆勤手当、時間外手当など諸手当を含み税金や社会保険料などの控除をする前の賃金の総額により計算します。平均賃金には、年次有給休暇の賃金、通勤定期券代、昼食料補助、皆勤手当、確定しているベースアップも含まれます。ただし、臨時的に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金など)や3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賞与、その他特別に法令や労働協約で定められていない現物給与は含まれません。

直前3ヶ月が適用されない例

平均賃金を計算するためには、休業事由が発生した日以前3ヶ月を合計した賃金が必要です。

しかし、次の場合は直前3ヶ月が適用されません。


・勤務期間が3ヶ月に満たない場合

・試用期間が含まれる場合

・出産の前後の休業期間を含む場合

・育児や介護による休業期間を含む場合

・業務上のケガや病気を療養するために休業した期間を含む場合

・使用者の責に帰すべき事由を含む場合


上記の期間を控除せずに計算すると、平均賃金が不当に低くなる可能性があります。


参考:厚生労働省平均賃金(労働基準法第12条)


少し複雑な日雇い労働者の平均賃金の計算方法

日雇い労働者の場合、日によって勤務先が異なることもあるため、一般的な平均賃金の計算方法とは別の計算式を使います。

日雇い労働者で勤務先が1ヶ月以上同じ場合は「1ヶ月間に支払われた賃金総額 ÷ その間の総労働日数 × 73%」で計算。また、勤務先が違った場合は「当該事業者で1ヶ月以上働いた同種労働者の1ヶ月間にあたる賃金総額 ÷ その間の同種労働者の総労働日数 × 73%」で計算します。

どちらも該当しない場合は、労働基準監督署などに問い合わせる必要があります。

休業手当の計算例

休業手当の計算例を、以下の条件を元に算出します。


休業理由:会社都合

休業期間:7月5日〜7月30日

所定労働日数:20日

賃金の締め日:月末

直前3ヶ月の賃金:6月30万円、5月末29万円、4月末32万円の合計91万円

直前3ヶ月の暦日数:4月〜6月で合計91日間


まず平均賃金の計算をする

直前3ヶ月の賃金(91万円)÷ 直前の3ヶ月間の暦日数(91日)=平均賃金1万円

次に1日あたりの休業手当を計算する

休業手当の補償額は、平均賃金60%〜100%です。

ここでは、最低補償額である60%で計算します。

平均賃金(1万円)× 60%=6,000円

つまり、一日あたりの休業手当は6,000円です。

最後に休業期間の休業手当の総支給額を計算する

一日の休業手当(6,000円)× 所定労働日数(20日)=12万円

つまり、休業期間に支給される手当は12万円です。

休業手当を算出するために準備する項目は「直前3ヶ月の賃金」「直前の3ヶ月間の暦日数」「休業期間中の所定労働日数」と覚えておきましょう。

コロナの影響で休業になった場合

コロナによる休業の多くは、労働基準法26条に定められる「外部起因性」と「防止不可能性」のある不可抗力と見なされます。そのため、会社が休業手当を支払う義務はありません。外部起因性とは「休業が事業の外部事情に起因すること」です。防止不可能性とは「事業主が最大限の注意を尽くしても休業を避けることができないこと」です。また、従業員がコロナにかかった場合も、休業手当を支払う義務はありません。

ただし、コロナ感染の疑いがある従業員を事業主の自主判断で休業させた場合や、単に仕事が減っただけの場合は休業手当を支払う義務が生じることもあります。

まとめ


休業とは、労働日なのに働けず休むことです。

その期間の生活を補償するために、休業補償や休業手当があります。

2つの制度は労働者を守るという重要な役割を果たしています。

人事に携わる者として万が一に備え、休業や補償制度、補償額の計算方法は知っておかなければなりません。絶対的な安全が確保されない現代だからこそ、休業に関する正しい知識は個人だけでなく企業も把握しておきましょう。


記事監修

   人事部サポートSR(https://o-sr.co.jp/

「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。

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