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2021年04月

2021.04.21

人が育つ人事評価制度は、評価の考え方に特徴がある

最近では「人事評価制度の目的は人材育成である。」という考え方が、ずいぶんと広まってきたように感じます。人事評価制度が査定ツールではなく、人材育成のツールであるという認識が広まってきたことは、とても素晴らしいことだと思います。

それと同時に、人事評価制度をどのように人材育成に活かせばいいのかが分からない、という声も多く聞くようになりました。
そこで今回は、人事評価制度を人材育成に活かす方法やコツについて一緒に考えていきたいと思います。是非ご参考にしてください。

<目次>
人材育成の型を知る
人材育成の型を人事評価制度に当てはめる
まとめ

人材育成の型を知る

人材育成の方法には型があります。人事評価制度を人材育成に活かすイメージが湧かない原因のひとつに、「人材育成の型を知らない」ということが考えられます。人材育成の型を知らないからこそ、人事評価制度を活かせずに苦しみ、部分的な評価のみに焦点をあて、本質的な成長支援に注力できずにいるのです。まずは、人材育成の型を理解するところから始めましょう。

①人の成長をPDCAに当てはめて考えてみる
人材育成の型を考えるにあたって、人の成長をPDCAに当てはめて考えてみたいと思います。そもそもPDCAとは、エドワーズ・デミングらによって提唱され、一般的には、P(Plan)D(Do)C(Check)A(Action)を繰り返して、目的実現に近づいていく手法と定義されています。これを人の成長に当てはめると以下のようになります。

・P(Plan)
なりたい姿に近づくための計画をつくり、目標を設定する

・D(Do)
計画を実行する、目標達成に向けて行動する

・C(Check)
行動の結果を評価する(計画通りに進んだか、目標が達成できたか否か)

・A(Action)
評価した結果を踏まえて、改善すべき点を見出す。
改善点を新たな目標設定に活かす。
改善点を参考に、自身の考え方や行動を軌道修正する。

以上のことから、人の成長は「P(計画)D(実行)C(評価)A(改善)を繰り返すことで、理想の人材に近づいていくこと」だと考えることができます。

②人の成長PDCAをそのまま人材育成に活かせるのか?
ここまで人の成長をPDCAに当てはめた型について考えてきましたが、実はこれをそのまま人材育成の型として考えてしまうと、落とし穴にはまってしまいます。人材育成とは人を育てることです。人が勝手に育つわけではありません。つまり人を育てるための支援が必要なのです。
実はここまで考えてきた型には、「支援」の要素が入っていないのです。そのため、そっくりそのまま当てはめると落とし穴にはまってしまうのです。

③人材育成のPDCAの「C」は「Cheer」の意味も持っている

多くの人がPDCAの「C」を「Check(チェックする、評価する)」と捉えています。確かにチェックや評価をすることも必要ですが、人からチェックや評価されることをあまり快く思わない人が多いことを考えると、これだけでは不満が募る可能性が出てきます。だからこそ「C」に秘められたもう一つの意味に注目すべきなのです。それが「Cheer(応援する、支援する)」です。これこそ、先ほど書いた人を育てるために必要な要素です。

つまり人材育成の型とは、人の成長をPDCAに当てはめた型に「応援・支援」という要素を入れたもの。すなわち「目標を設定し(P)、その達成に向けて行動し(D)、定期的に行動の成果や実態を把握し(C)、必要な軌道修正を繰り返す(A)ことで理想の姿に近づいていく。
そのサイクルを回すことと、その過程において本人の成長を応援し、支援する(C)こと」です。
これが人材育成の型:人材育成のPDCAなのです。

人材育成の型を人事評価制度に当てはめる

では、人材育成の型を人事評価制度に当てはめるとどうなるでしょうか。以下にまとめましたので参考にしてください。

人材育成の型を人事評価制度に当てはめる際も、「Cheer(応援する、支援する)」が欠かせません。

人の育成につながらない人事評価制度の多くは、目標を設定し、実行は本人任せ。
そして評価の時だけその良し悪しを判断し、判断結果を本人に伝える。という運用方法を取っています。その結果、多くの企業で評価を受ける人が、人事評価制度に対して「見定められている感じがして、嫌悪感がある」「評価の時だけ表面的なアドバイスをされても納得できない」「評価が恣意的で不公平に感じる」などの不満を持っています。

さらにこの運用方法は、極端に言えば、軌道修正をすることすらも本人任せとなっています。
なぜなら、軌道修正のきっかけともいえる上長からのフィードバックが評価時のみだからです。年に1、2回程度しか成長や軌道修正の機会がないと考えると、少ないと感じませんか? さらに言うと、評価の時すらフィードバックをしないケースもあります。
これでは成長の機会が無いに等しいと言っても過言ではありません。これを防ぐためにも、進捗の共有と軌道修正ができる機会を増やすべきなのです。

その機会こそ、「Cheer(応援する、支援する)」です。つまり、人を育てる人事評価制度は、単に目標を設定するだけでも、評価するだけでもありません。もちろん給与決定のルールとしてのみ活用するものでもありません。人事評価制度の運用を通じて、人の成長を応援するスタンスで支援することが本来の活用方法なのです。もしあなたが「C」をCheckのみと考えているのであれば、「C」に対する考え方を今一度見直してみてください。そして、あなたがスタッフを応援するスタンスで支援するために、できることは何なのか、考えてみてください。

まとめ

本日は、人事評価制度を人材育成につなげるポイントについて、考えてきました。お気づきの通り、人事評価制度は導入すれば勝手に人が育つものではありません。目標についても同様で、掲げた目標が勝手に達成されるわけではありません。これは大変もどかしいことです。

ただ語弊を恐れずに言うなら、どんなに素晴らしい制度をつくり上げたとしても、それだけでは、あなたの望む結果が「勝手に」手に入ることはありません。つくり上げた制度を活用しきる必要があります。

そして、活用しきるためには「支援・応援」が不可欠です。評価を受ける立場で考えてみましょう。単に出来・不出来をチェックされるだけの無機質な評価では、信頼関係を育むどころか、不信や不満を募らせてしまうでしょう。反対に自分がやろうとしていることを応援してくれる相手には、信頼や感謝、尊敬の気持ちすら芽生えるかもしれません。相手を応援しようとする気持ちと行動が積み重なっているからこそ、相手はそれに応えようと頑張るのではないでしょうか。その頑張りは本人の成長につながり、組織の戦力アップにつながる。こうして企業は年々強くなっていきます。

人を育て、企業を強くする人事評価制度は、応援を大切にしています。あなたの人事評価制度は「Cheer」が入っているでしょうか? 是非見つめなおしてみてください。

本日は以上となります。ご一読いただきましてありがとうございました。

<作者紹介>
株式会社ブレインマークス 今泉 勇太
コンサルティングサークル所属。中小企業の成長に必要な「人事評価・給与制度」、「経営計画の策定支援」「業績管理の仕組み化」「組織力向上による業績向上」を得意としている。多くの社長から「会社のことを真剣に考えてくれる右腕が一人増えた!」と評価が高い。
https://www.brain-marks.com/

2021.04.12

評価の食い違いが人事評価制度を失敗させる

 人事評価制度を導入したものの、いざ評価をすると自己評価と上長評価に食い違いが発生して困っている。こんな悩みはないでしょうか? 多くの中小企業を支援してきた弊社にもこうした悩みはよく寄せられます。
そこで今回は、なぜ評価が食い違うのか、それを防ぐ方法やコツをご紹介していきます。是非ご参考にしてください。

<目次>
評価が食い違うことによる弊害
なぜ評価が食い違うのか?
評価の食い違いを防ぐ3つの行動
まとめ

評価が食い違うことによる弊害

評価を受ける人の「評価が低すぎる不満」と評価者の「スタッフの自己評価が高すぎる不満」という真逆の不満は、よく聞かれる話です。
こうした真逆の不満、いわゆる評価の食い違いが生じ続ければ、スタッフのモチベーションは下がり、不安と不満が渦巻く雰囲気となってしまうでしょう。こうした環境下では、人事評価制度に対する不信感を募らせる人が増え、それが離職に繋がることさえあります。
仮に離職という最悪の事態を免れたとしても、不信感を募らせ続けた人事評価制度は、近い将来風化し使われなくなります。
こうした事態を避けるためにも、評価の食い違いを防がなければなりません。その解決策を考える前に、そもそも評価が食い違う理由から把握していきましょう。

なぜ評価が食い違うのか?

評価が食い違う理由は、大きく分けて2つあります。
1つ目は基準が不明確であること、2つ目は納得感への投資が不十分であることです。
一つひとつ確認していきましょう。

①基準が不明確

人が人を評価する人事評価制度では、どうしても主観が入ってしまいます。そして、主観的な評価になればなるほど、評価がばらつきやすくなります。では、なぜ主観的な評価になってしまうのでしょうか。それは、基準の不明確さが原因です。
何をどの基準で評価すればいいのかが曖昧であればあるほど、自分の感覚やこれまでの経験で評価をせざるを得なくなります。そして、この価値観や経験は人によってバラバラです。
つまり、自分軸に頼って評価をしないようにするためには、評価の基準を明確にする必要があるのです。あなたの会社では、何が評価され、何が評価されないのか、どのレベルまでやれば評価されるのかといった基準は明確になっているでしょうか?

②納得感への投資が不十分

2つ目の理由は、納得感への投資が不十分であるということです。たとえどんなに明確な基準をつくったとしても、基準の捉え方を間違ったり、事実に対して誤った認識を持っていては評価の食い違いが発生してしまいます。

ジョハリの窓という考え方にもあるように、自分では気づかない自分というものが存在します。これを本人に認識させるには、時間をかけて理解を促していく必要があります。
しかし、この投資が不十分の場合があります。そうなると、スタッフと上司の間で相互理解が進まず、スタッフは上司がなんでそんな評価をするのかが分からないと不満の声をあげることになります。
評価者は、スタッフ本人が気づいていない事実を伝え、根気強く本人に気づいてもらうことに力を注ぐ必要があるのです。これが納得感につながります。あなたは、スタッフにあなたから見たスタッフの事実について、じっくりと、我慢強く伝え続けることをしているでしょうか?


※ジョハリの窓とは※
自分が知っている「自分の特徴」、他人が知っている「自分の特徴」の一致・不一致を『窓のように見える4つの枠』に分類するフレームワーク(手法)です。また、そのズレを一致させていくことで他人とのコミュニケーションを円滑にできると考えられています。

<4つの枠>
「開放の窓」 自分も他人も知っている自己
「盲点の窓」 自分は気がついていないが、他人は知っている自己
「秘密の窓」 自分は知っているが、他人は気づいていない自己
「未知の窓」 誰からもまだ知られていない自己

評価の食い違いを防ぐ3つの行動

ここまで、評価が食い違う2つの理由について考えてきました。
ここからは、その2つを考慮し、私たちがするべきことを考えていきましょう。

①評価基準を明確にする

基準が不明確による評価の食い違いを防ぐために、できることが2つあります。
1つ目は「評価基準を明確にする」こと、2つ目は「達成基準を明確にする」ことです。
ここでは1つ目の「評価基準」について考えていきます。人事評価制度は経営者の最大の意思表示です。どんな人を評価し、どんな人を評価しないのか、これを明確にしたものです。経営者の頭の中を可視化したツールとも言えるでしょう。
だからこそ、どんな成果を出せば評価されるのか、どんな能力を身に着け、どんな仕事ができたら昇格できるのか、など徹底的に経営者の想いを具体的に可視化していきましょう。
こちらの記事(「人事評価制度とは?必要な理由と構築のポイント」)も参考に、評価基準の明確化に取り組んでみてください。

②達成基準を明確にする

続いて、基準が不明確による評価の食い違いを防ぐための2つ目について、考えていきましょう。
そもそも、基準が明確な状態とは、「何が評価されて、どのレベルまで求められているのか」が一目瞭然な状態です。
「何が評価されるのか」については、①の評価基準です。
そして「どのレベルまで求められるのか」という指標が達成基準です。達成基準の例として、まずは売上について考えてみましょう。
すごく頑張ったと評価される数字はいくらで、期待通りだと評価される数字はいくらなのか、もう少し頑張ろうという評価になる額は?と決めること、これが達成基準です。
これは数値目標以外でも可能です。例えばマニュアルづくり。月に2本つくることが期待通り、月4本であれば期待を超えている、月1本であれば期待までもう少し、といったように設定することができます。
どんな内容でも工夫次第で達成基準をつくることができるのです。この達成基準づくりには時間がかかるかもしれません。
スタッフとその基準について相互理解を深め、合意を得ることは骨を折る作業になるかもしれません。それでも、具体的な基準がなければ食い違いが防げないことも事実です。是非、基準の明確化に取り組んでみてください。

③コミュニケーションの量を増やす

たとえ評価基準が明確だったとしても、先に述べたように自分では気づいていない事実があることがあります。
しかし、スタッフを思って自分の考えを伝えても伝わらなかったり、受け入れてもらえなかったという経験を誰もが一度はしているのではないでしょうか。こうした悩みは、多くの経営者やマネジャーを苦しめています。
ここであえて、スタッフの立場になって考えてみましょう。評価のタイミングでいきなり面談されて、できていないところを指摘される、それで素直に受け入れろと言われても、なかなか心がついていかないというのが本音ではないでしょうか。
これが、毎月定期的な面談があって、そこで少しでも自分の修正点に触れられていれば、自然とその内容を受け入れていけると思います。
定期的な面談を通じて、少しずつ改善を促していく。本人も普段あまり話していない人に指摘されるのではなく、常に見てもらっている人の指摘だから受け入れやすい。こう考えると、コミュニケーションの量を増やすことで、本人をより良い方向に導くことができると思いませんか?どうやったら自分の意見を分からせることができるかと考えるのではなく、まずは相手の立場に立って、相手の味方になってコミュニケーションの量を増やしてみてはいかがでしょうか?

まとめ

本日は、なぜ評価が食い違うのか? ということをテーマにポイントをご紹介しました。
評価の食い違いは、人事評価制度の運用にとっても、スタッフの気持ちにとっても重要な課題です。

それにも関わらず、多くの企業で評価の食い違いが起こり続けています。

よく経営は人・物・金・情報と言われますが、この中で人への投資が後回しになってしまっていると感じる企業が多いと聞きます。
つまり、多くの企業で人への投資を怠り、その結果、評価に対する不満が増えている、と考えることができるのではないでしょうか。

ここでの投資とは、スタッフにかける時間や労力も含みます。評価が食い違うという事象は、氷山の本の一角にすぎず、むしろそれを引き起こす在り方を疑うべきなのかもしれません。スタッフと何をどのレベルで求めているのかをしっかりと共有する、評価について納得いくまで話し合う、その時間と労力を惜しまないことが重要なのではないでしょうか。

評価の食い違いを無くし、人事評価制度をうまく機能させるためにも、人への投資に対する考え方を一度見つめ直してみると、新たな発見があるかもしれません。

本日は以上となります。ご一読いただきましてありがとうございました。

<作者紹介>
株式会社ブレインマークス 今泉 勇太
コンサルティングサークル所属。中小企業の成長に必要な「人事評価・給与制度」、「経営計画の策定支援」「業績管理の仕組み化」「組織力向上による業績向上」を得意としている。多くの社長から「会社のことを真剣に考えてくれる右腕が一人増えた!」と評価が高い。
https://www.brain-marks.com/

2021.04.01

2021年4月からの押さえておきたい法改正や制度変更についてご説明します

 新型コロナウィルス感染症の影響で世の中が大きく変わりました。働き方も例外ではありません。新しい働き方に伴って制度も変化しています。そこで、今回は新年度を迎えるにあたって抑えておきたい改正や制度の変更について説明していきます。

<目次>
①パートタイム・有期雇用労働法改正
②高年齢者雇用安定法改正
③総括表の届出廃止
④36協定届の様式変更

1、2020年4月1日から働き方改革関連法が施行されていますが、いよいよ中小企業にも「同一労働・同一賃金」が適用されます。

●不合理な待遇差の禁止

同一企業内において正社員と非正規雇用労働者との間であらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。
  1. 基本給
  2. 各種手当・・・業務の内容が同一の場合の手当を支給している場合は見直しが必要です。通勤手当、精皆勤手当、住宅手当、家族手当など正社員と短時間・有期雇用労働者との間に待遇差がある場合早急に是正しましょう。
  3. 賞与・・・会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給をしてください。
  4. 福利厚生・教育訓練・・・福利厚生施設の利用、慶弔休暇、健康診断の有給保障については同一利用・付与としてください。例えば正社員にだけ5日間付与される夏季休暇がある場合、非正規雇用労働者に対しても同等あるいは勤務の実態を考慮してそれに近い休暇日数を与えなくてはいけません。病気休職については、無期雇用の短時間労働者には正社員と同一の、有期雇用労働者にも労働契約が終了するまでの期間を踏まえて同一の付与を行わなければなりません。

●労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、正社員との待遇差の内容と理由を説明しなければならなくなりました。説明が必要な項目は下記のとおりです。

  1. 雇用管理上の措置の内容・・・雇入れ時に賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用など
  2. 待遇決定に際しての考慮事項
  3. 待遇差の内容・理由

また、待遇差の内容と理由の説明を求めたことによる不利益な取り扱いは禁止されています。なぜこの給与額・待遇としたのかを明確に説明しなければなりませんので、基準が必要となります。これまで基本給を「能力・経験などを鑑みて総合的に考慮する」と決めてきた会社は早急に見直しをされることをお薦めします。

●裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の規定の整備

パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者の均等・均衡待遇等に関する個別労使紛争については、各都道府県労働局の紛争調整委員会にて「調停」ができます。(無料・非公開)

2、高年齢者雇用安定法改正

これまでの高年齢雇用安定法の大きな柱は以下の2点でした。

〇60歳未満の定年禁止
定年年齢は60歳以上としなければなりません。

〇65歳までの雇用確保措置
定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

  • 65歳までの定年引き上げ
  • 定年制の廃止
  • 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入

2021年4月1日以降は次のように変わります。
65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設しました。

  1. 70歳までの定年引上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  5. 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
  •  A事業主が自ら実施する社会貢献事業
  •  B事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

以上の高年齢者就業確保措置の努力義務を負う事業主は以下のとおりです。

〇定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
〇65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している事業主

●無期転換ルールの特例について
同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合に労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換します。但し、適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主の下で定年後に引き続いて雇用される期間は無期転換申込権が発生しません。注意が必要なのは、定年後他社に雇用される場合です。この場合特例の対象とはならず無期転換申込権が発生します。

3、総括表の廃止

2021年4月から総括表が廃止となります。
廃止となる総括表は以下の手続きです。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届総括表
  • 船員保険・厚生年金保険被保険者賞与支払総括表
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者月額算定基礎届総括表

また新たに以下の報告書が新設となりました。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者賞与不支給報告書
  • 船員保険・厚生年金保険被保険者賞与不支給報告書

こちらの報告書は賞与が不支給だった場合に提出することになります。

4、36協定届の様式変更

36協定届(時間外労働・休日労働に関する協定届)の使用者の押印・署名が廃止されました。労使で合意したうえで労使双方の合意がなされたことが明らかとなるような方法により36協定を締結することとなっています。
36協定届の当事者に関するチェックボックスが新設されました。過半数代表者の選任にあたっては次のことを注意してください。

  • 管理監督者でないこと
  • 36協定を締結する者を選出することを明らかにした上で、投票、挙手等の方法で選出すること。
  • 使用者の意向に基づいて選出された者でないこと

新年度は改正となる部分が多くありますので、今一度確認をしましょう!

<筆者紹介>
社会保険労務士法人TENcolors
特定社会保険労務士 古川 天
http://sr-ten.com/

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