HR-Get

2021年06月

2021.06.30

あなたの会社には「目標達成の行動習慣」はありますか?

人事評価制度を活用して「目標達成の行動習慣」を身に着けよう

あなたの会社には、「目標達成の行動習慣」が定着しているでしょうか。「目標達成の行動習慣」とは、スタッフ全員が自らの目標を設定し、その達成に向けて行動する習慣のことです。もし、「目標達成の行動習慣」をスタッフ全員が身につけたなら、会社の実行力は高まり、あなたが理想とする会社の実現は加速するでしょう。本日は、「目標達成の行動習慣」を手に入れるポイントについて、ご一緒に考えていきたいと思います。是非、参考にしてください。

「目標達成の行動習慣」は人事評価制度の運用で実現する

スタッフひとり一人が自らの目標を立て、その実現のためにPDCAを運用する。その行動習慣は、会社にとって最大の財産となります。じつは、この行動習慣を身に着ける仕組みこそ人事評価制度なのです。人事評価制度の評価項目の一つに目標管理という指標がありますが、これの本来の目的は「目標達成の行動習慣」を身に着けることです。自ら目標を設定し、その達成度合いを評価することで、目標達成の行動習慣を身に着けていくことを目指します。人事評価制度を活用し「目標達成の行動習慣」を身に着ける、という視点を大切にしていただきたいのです。

ピーター・ドラッカー氏の教え

「目標達成の行動習慣」の大切さを最も強く説いた人が、「現代経営学」あるいは「マネジメント」 の発明者であるピーター・ドラッカー(P.F.ドラッカー)氏です。1950年代にP.F.ドラッカー氏は、「企業が必要としているのは、個人的目標と共通の利益を調和するような経営原則」として、目標管理(Management by Objectives and Self-control)の仕組みを提唱。言い換えると、目標管理(Management by Objectives and Self-control)は、『与えられた目標ではなく、自ら目標を設定する習慣をつけることにより、指示命令ではなく、スタッフの自主性を生み出すための仕組み』ということです。つまり、「目標達成の行動習慣」を身に着けることが、重要な経営原則であると説いているのです。

「目標達成の行動習慣」を手に入れる2つのポイント

そんな重要な経営原則「目標達成の行動習慣」。ここからは「目標達成の行動習慣」を手に入れるための2つのポイントをご紹介します。
1つ目は「正しい目標の立て方」を理解すること、2つ目は「正しい目標の運営法」を理解することです。

■ポイント1:目標の正しい立て方を理解する

多くの人は、「目標の正しい立て方」を理解していません。そのため、
「目標を立てるのが苦手」
「目標は立てたが立てただけ」
「目標に対するモチベーションが継続できない」
などの不安を抱えたまま、目標に対峙しています。「目標達成の行動習慣」を身に着けるには、正しい目標の立て方を理解し、目標と、うまく付き合う必要があるのです。

【目標を設定する6つのSTEP】

STEP1:スタッフが目標を設定できるよう、素材を提供する
会社の役に立ちたいと思い、目標を立てようとしてもできない場合があります。それは、会社の方針や目標、自分に何が求められているのかが分からない場合です。これでは、いくら会社の目標達成に寄与すべく自分の目標をつくろうと思っても、それを叶えることができません。スタッフに会社の目標を理解したうえで、目標を考えて欲しいと願うなら、それを設定するために必要な素材は惜しみなく提供することが必要になるのです。

STEP2:本人は「なりたい自分」について振り返る
「この目標を達成すれば、なりたい自分の姿に一歩近づける」。その情熱が目標達成に向けた努力や行動の原動力となり、気持ちを前向きにしてくれます。まずは、なりたい自分を想像することがスタートです。

STEP3:「なりたい自分」に繋がる目標であること
会社の理念、使命、ビジョン、そして、自分の役割を理解し、その実現に繋がる目標を立てます。この時、「この目標を達成したら、なりたい自分に近づくだろうか」と自問自答し、会社の目標と、なりたい自分になる道を繋げましょう。
例)「営業目標〇〇%達成」 ⇒ 社内で頼りにされる存在

STEP4:ストレッチ目標であること
ひとり一人の成長を実現する正しい目標設定では、「ストレッチ目標(背伸びをして、届く目標)」を設定します。ストレッチ目標とは、実現不可能ではないが、努力をしなければ実現できない高さにある目標を指します。「楽々達成する低い目標」でもなければ、「根拠がなく無暗に高い目標」でもありません。自分の能力や思考を最大限駆使し、小さな改善と向上を繰り返して、やっと手が届く目標が正しい目標であり、この背伸びが成長に繋がるのです。

STEP5:明確な期限があること
目標には、明確な期限を設けましょう。期限は自分自身に行動を促す重要な要素です。「いつか、この仕事が出来るようになる」「いつか、資格をとる」「いつか、ミスをなくす」。期日がない目標は先延ばしになり、いつまでたっても達成されません。期日を明確にしましょう。

STEP6:具体的かつ測定可能な達成基準をつくること
どんな成果を出せば達成なのか、明確に定めておきましょう。達成した状態を誰が見ても分かるようにすることで、目指すべきものが具体的になります。具体的になればなるほど達成に向けた行動がしやすくなるのではないでしょうか。
■ポイント2 正しい目標の運用法を身につける
「目標の正しい立て方」を理解したなら、次は「正しい目標の運用法」を身につけなければなりません。重要なのは高速でPDCAを回すことです。計画を立て、行動、評価し、行動を変える。このプロセスを高速で行うのです。これを成功させるには、CとAが特に重要です。意外と多くの人がPやDまではできています。しかし、それを振り返ったり改善行動をすることになると、できていると自信を持って言える人が極端に減ってしまいます。だからと言って、CとAを「気合」や「根性」でできるようにしようとするのは本当の解決になりません。そこで注目されるものが1on1ミーティングです。これは、「仕組み」でCとAを定着させるという役割となります。
1on1ミーティングについては前回の記事に書きましたのでご参考にしてください。

目標設定はトレーニングでうまくなる

ここまで、目標設定のコツをご紹介してきましたが、これらを実施しても、うまくいかないことはあると思います。目標設定の経験がない人は、不慣れで極端に難しい目標を設定してしまうかもしれません。反対に、極端に簡単な目標を設定してしまうこともあるでしょう。その際は、軌道修正をしていきましょう。目標設定もスキルです。トレーニングでうまくなります。「目標達成の行動習慣」を身に着けるために必要なトレーニングと思って根気強く目標設定スキルのレベルアップをしていきましょう。

まとめ

本日は、人事評価制度の最も大切な目的と言える「目標達成の行動習慣」についてお伝えしてきました。この習慣は確実に会社を成長へと導きます。しかし、多くの会社でこの習慣が身についている人は少数派でしょう。この習慣が身についている人は社長のみ、というケースも少なくないかもしれません。もし、「目標達成の行動習慣」を全スタッフが身に着けたとしたならば、その効果は絶大なものになるでしょう。だからこそ、人事評価制度は、目標が達成できたか否かだけではなく、この制度運用を通じて「目標達成の行動習慣」を、いかに身に着けることができるか、ということにこだわることが大事なのではないでしょうか。

あなたの会社には、「目標達成の行動習慣」がスタッフ全員に根付いているでしょうか? 今一度、組織を見つめなおしてみてください。本日は以上となります。ご一読いただきまして誠にありがとうございました。

<作者紹介>
株式会社ブレインマークス 今泉 勇太 コンサルティングサークル所属。中小企業の成長に必要な「人事評価・給与制度」、「経営計画の策定支援」「業績管理の仕組み化」「組織力向上による業績向上」を得意としている。多くの社長から「会社のことを真剣に考えてくれる右腕が一人増えた!」と評価が高い。
https://www.brain-marks.com/

2021.06.21

1on1ミーティングとは?人事評価制度の運用のカギ

「人事評価制度をつくったが、運用がうまくいかない。」というご相談を多く頂戴します。これは多くの中小企業を悩ます共通の課題のようです。そこで本日は、人事評価制度の運用を成功させるためのカギとなる1on1ミーティングについて、実施のコツや面談との違いをご紹介したいと思います。是非、参考にしてください。

1on1ミーティングはなぜ必要か

人事評価制度を運用するにあたって、定期的な実行支援は不可欠です。1on1ミーティングの優先順位を下げたことで、人事評価制度の運用が失敗に終わったという話をたくさん聞きます。なぜそうなってしまうのでしょうか。まずは、人事評価制度の運用が失敗する原因について、4つご紹介します。

人事評価制度の運用が失敗する原因とは

多くのご相談者様から、人事評価制度の運用がうまくいかない理由を詳しく伺っていくと、その原因は4つに絞られることが分かりました。

1つ目:運用を意識してつくられていない

運用しにくいものをつくってしまえば、運用がうまくいかないのは当然かもしれません。

2つ目:経営者が制度に対して納得していない
新しい制度を運用し定着させるには、それ相応のエネルギーが必要です。ここで、導入する制度が納得感の少ないものであれば、本来必要なエネルギーを発揮しようにも発揮できません。そうなると、新しい制度はいずれ風化し、運用が失敗に終わってしまうことは想像に難くはありません。
3つ目:スタッフに納得感がない
スタッフの協力無くして運用は成功しません。納得しないものを推し進めるスタッフは稀な存在です。つまり、納得のいかない制度に対して、スタッフが協力してくれないことで、運用が失敗に終わってしまうのです。
4つ目:運用にかける時間が少ない
人事評価制度は正しく使えば、人が育ち、会社の戦力が高まり業績向上を実現できる、非常に優れたものです。その恩恵を手にするためには、人事評価制度の運用の時間をしっかりと取って、運用していく必要があります。この時間を無駄だと省いてしまうことが、人事評価制度の運用を失敗に誘うというケースです。

人事評価制度の運用を成功させるために必要なこと

では、人事評価制度の運用を成功させるためには、どうすればいいでしょうか。それは、失敗の原因を排除することです。4つの原因と対策を表にまとめましたので参考にしてください。

原因 対策
運用を意識してつくられていない

・運用を意識してつくる
・相談先をしっかり選ぶ
(自社で人事評価制度を実践している専門家に相談する)

経営者が制度に対して納得していない

・納得いくまで考え抜く
・実践者に相談して、実践するイメージをしっかりと固める

スタッフに納得感がない

・人事評価制度の目的を人材育成にする
(人事評価制度=査定制度では悪印象)
・人事評価制度の説明会を実施する
・制度の名前自体を変える
(例:キャリアアップシステム等)

運用にかける時間が少ない 毎月1回、1時間程度、1on1ミーティングの時間を設ける
・加えて、評価決定時はフィードバックの時間をしっかりと設けて実施する
いかがでしょうか。上記の対策の中で、言われてみればできそうなものも多数あると思います。
しかし、この中で一番イメージがしづらく、躊躇しがちと考えられるのが、1on1ミーティングの実施です。語弊を恐れずに伝えるならば、「どんなに良い制度をつくり、しっかりと説明をしたとしても、1on1ミーティングが毎月、定期的に開催されるか否かで、その制度の成功の是非が決まってくる」と言っても過言ではありません。人事評価制度の本来の価値を享受するためには、定期的な1on1ミーティングは必要不可欠な取り組みなのです。

なぜ1on1ミーティングが必要なのか?

それではここから詳しく、1on1ミーティングの必要性についてお伝えいたします。人事評価制度の運用は、「スタッフ自身が成長目標や成果目標を掲げ、それを実現するために行動し、その結果を評価する」というものが一般的です。つまりスタッフは、人事評価制度の運用中、目標に対して立ち向かい、大小様々な課題を乗り越えていくことになります。そのうえ、人間関係の悩みやキャリア上の不安など、様々なことがスタッフの頭の中をめぐります。

そんな時、求められるのが「解決を支援する時間」と「解決を支援する存在」です。1on1ミーティングは、「解決を支援する時間」と「解決を支援する存在」を提供します。この時間の主役は、マネジャーではありません。この時間の主役は、間違いなく「スタッフ」になります。マネジャーはスタッフの話に真摯に耳を傾け、「課題解決の方法」を共に考えます。「面倒くさい」と思うかもしれませんし、「忙しいから、そんな時間取れない」と感じるかもしれません。しかし、そうして1on1ミーティングの優先順位を下げたことで、人事評価制度の運用が失敗に終わったという話をたくさん聞きます。それだけではなく、目先の問題への対応に追われ、スタッフからの質問攻めに追われ、マネジャーが本来出すべき成果を出せずに苦しんでいるという話まで聞こえてきます。これらの問題を解決するためには、1on1ミーティングの優先順位を上げるべきなのです。そうすることで、人事評価制度の運用の成功はもちろん、マネジメントの成功をも導いてくれる強力な仕組みを手に入れることができるのです。

1on1ミーティングを開催するコツとは

ここまでの記事を読んで、いざ1on1ミーティングをしようとしても「どうすればいいか分からない」「1on1ミーティングにトライしたことがあるが上手くいかなかった」などの感想をお持ちの人もいるでしょう。そこで、ここからは1on1ミーティングのコツをご紹介します。

■目的
スタッフの課題解決を通じて、成長と目標達成支援を行なうこと

■基本スタイル
① 毎月1回 30分~1時間を目安に実施する
② 定期的に開催し、年間スケジュールを決めておく
⇒ 問題が起きた時に実施したのでは、本来の目的を実現できない
③ 他者の目を気にせずに、本音を話し、相談ができるように個室で実施する
④ スタッフの目標を記録したシートなどを持参してもらい、毎月進捗を確認する

■一般的な面談と1on1ミーティングの違いとは
項目 一般的な面談 1on1
目的 業務の進捗確認と指示
人事の評価
課題の解決
教育の「教」

目標の共有
スタッフの能力開発(成長の後押し)
スタッフの個性・能力の把握(適材適所)
スタッフと会社の架け橋
教育の「育」

内容 評価
指導
叱咤激励
目標へのコミットメント
目標達成への応援
成長へのアドバイス
関係性 上下関係
一方的なコミュニケーション

信頼関係 
相談役
双方向のコミュニケーション

雰囲気 緊張感が漂う雰囲気 オープンで話しやすい雰囲気
主役 上司、会社のために開催 スタッフのために開催
社員のホンネ 面倒なもの 楽しみなもの

上記のコツを参考に、ぜひ1on1ミーティングにトライしてみてください。必ずいい変化を感じることができると思います。


まとめ

本日は、人事評価制度の運用を成功させるポイントとして、1on1ミーティングの重要性をお伝えしました。もしかするとあなたは、時間をかけてつくった制度を、説明会まで実施し丁寧に導入したのだから、この先は勝手にスタッフが運用するものだろうと思うかもしれません。しかし、ここに落とし穴があります。人事評価制度をうまく活用できている会社ほど、人事評価制度の運用において正しい時間の使い方をしています。その時間が1on1ミーティングです。ここに時間を投資するからこそ、人事評価制度から得られる成果を最大限享受できるのです。もし1on1ミーティングを怠れば、評価に不満が出て、その火消しに時間を割かれるでしょう。給与に納得がいかないと主張する人との給与交渉にも時間を割かれるかもしれません。人事評価制度の運用がうまくいっていない会社ほど、こうした正しくない時間の使い方をしています。

繰り返しになりますが、人事評価制度は、うまく活用できれば人が成長し会社の戦力向上につながります。また、スタッフの満足度が上がり、スタッフの定着率も上昇。その結果、業績は向上し優秀な人材が辞めない良い会社、優秀な人材が集まる会社をつくることにもつながるでしょう。これを実現させるには、1on1ミーティングをするという時間への投資が必要です。あなたの会社では、人事評価制度の運用において、正しい時間を投資できているでしょうか? 本日は以上となります。ご一読いただきましてありがとうございました。

<作者紹介>
株式会社ブレインマークス 今泉 勇太 コンサルティングサークル所属。
中小企業の成長に必要な「人事評価・給与制度」、「経営計画の策定支援」「業績管理の仕組み化」「組織力向上による業績向上」を得意としている。多くの社長から「会社のことを真剣に考えてくれる右腕が一人増えた!」と評価が高い。

2021.06.07

【企業担当者向け】雇用保険の加入条件や手続き方法の基本情報まとめ

・雇用保険の手続きについて知りたい
・雇用保険の手当には何があったか?

この記事ではこのような疑問にお悩みの労務担当者に向けて、網羅的に解説していきます。この記事を読めば、雇用保険について理解が出来るので、ぜひ参考にしてください。さらに実際の手続きにおいても、入社、離職、転勤全ての場合における雇用保険の手続き、取扱い方も含めて分かりやすく説明をしていきます。
(2025年1月10日 更新)

【目次】

  • 雇用保険の目的
  • 雇用保険と他の保険との違い
  • 所定労働時間が週20時間以上もしくは月87時間以上
  • 働き始めて31日以上の雇用が見込まれること
  • 学生のように加入条件の時間を超えていても対象外になる人もいる
  • 基本手当(失業手当)
  • 再就職手当と就業促進手当
  • 教育訓練給付金
  • 育児休業給付金
  • 介護休業給付金
  • 技能習得手当
  • 従業員を雇入れする場合の手続き
  • 従業員が離職する場合の手続き
  • 従業員が転勤する場合の手続き

まとめ

雇用保険手続きを含めた日々の労務管理をもっと楽にするには

社労法務システムの紹介

雇用保険とは

この章では、そもそも雇用保険とは何かについて説明していきます。
まず、雇用形態に関わらずアルバイト、パートでもなれ、しかも数々の手当や給付が受けられることを知っておきましょう。

雇用保険の目的

雇用保険とは、労働者の生活と雇用の安定を図ること、労働者の再就職を支援、促進することを目的に定めてあります。失業すると、次の就職まで安定した収入がなく、ただでさえ求職活動がない状態で、労働者の生活を脅かされかねません。

後ほど詳しく説明いたしますが、雇用保険に加入していれば、労働者は就職までの失業手当の給付を受けられます。また、公共職業安定所に通う時も、受講や交通費で一定額の給付を労働者は貰えます。

労務担当者が加入手続きを怠った場合、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に処されるケースもあるので(雇用保険法第83条)必須項目です。

雇用保険と他の保険との違い

ここで、労働者が加入する保険の内、雇用保険と間違われやすい保険を大別して説明していきます。

まず、労働保険という大きな括りの中に労災保険と雇用保険があります。労災保険とは業務中や通勤中に起こった事故、つまり労働災害が起きたときの治療費や休業中の収入を補償する制度です。

次に、社会保険の大枠に健康保険と厚生年金保険があります。健康保険は業務以外の医療費の補填が効く制度であり、厚生年金保険は企業で就労する労働者が積み立てできる保険制度です。

雇用保険はあくまで失業手当を軸とした、各種の再就職支援等のみであることを念頭に置いてくださいね。

雇用保険の加入条件 

この章では、雇用保険の加入条件について実際の厚生労働省の記述をもとに、時間の下限や細かな社会的立場も含めて解説いたします。

所定労働時間が週20時間以上もしくは月87時間以上

第一に、雇用保険は所定労働時間に基づきます。

所定労働時間は、実労働時間と異なり、就業規則、契約書上で取り交わされた時間です。もし契約書面上で、常時週20時間未満なら一時的な残業時間を含んでも雇用保険加入条件の対象にはなりません。例えば、週15時間勤務で採用されたのち、ある週は残業時間で週5時間を超えた場合でも雇用保険に加入できないということです。

また、シフト制だと週によって勤務時間が異なる場合もあります。よって、月87時間以上で計算されます。要は、一週目が10時間であっても、残りの週で77時間を超えれば雇用保険の加入条件を満たせるということです。

働き始めて31日以上の雇用が見込まれること

第二に、以下の日数に関する条件のいずれかを満たすことが加入条件となります。

  • 期間の定めがない雇用
  • 雇用契約に更新規定があり31日未満の雇止めがない
  • 雇用契約に更新規定がなくても同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績をもつ

ここまでをまとめると「所定労働時間が週20時間以上もしくはシフト制で月87時間以上」でかつ「31日以上の雇用が見込まれること」双方を全て満たすことが雇用保険の加入条件になりますので、ぜひ、参考にしてください。

学生のように加入条件の時間を超えていても対象外になる人もいる

第三に、上記2つを満たしていても、雇用保険に加入できない社会的立場の人がいます。厚生労働省では以下のように定められています。

  • 無限責任社員
  • 顧問
  • 昼間学生 ※卒業前に内定先に就職し卒業後も引き続き勤務することが予定されている場合や、通信教育・夜間・定時制の学生は除く
  • 家事使用人
  • 臨時内職的に雇用される者
  • 授産施設の作業員
  • 保険会社の外務員及び商事会社の外交員、営業部員(事業主と雇用関係になく、委託関係と認められる者)
  • 旅館、料理店、飲食店、接客等、娯楽場の事業に雇用される者(事業主との間に雇用関係のない者)
  • 在日外国人(外国において雇用関係が成立した後、日本国内にある事業所に赴き勤務している者)

参照:厚生労働省 Q1 雇用保険の加入の要件を教えてください。


無限責任社員とは、合名会社の社員、合資会社のうち一人が該当します。その他の株式会社や合弁会社、合同会社の社員は社長含めて有限責任社員(もしくは出資がある関節有限責任社員)です。

つまり、一般に言う所謂「大学生」「高校生」は、雇用保険の加入条件ではありません。加えて、年齢に関わらず、未成年も65歳以上の方も雇用保険の対象者となります。

社労法務システム+Esia-Zero(イージア・ゼロ)について

雇用保険による従業員への給付制度

この章では、雇用保険に関するすべての給付制度を解説いたします。

基本手当(失業手当)

「失業保険」というものは厳密には存在せず「雇用保険でもらえる失業給付」である基本手当が該当します。基本手当では離職前の給与の5割〜8割程度を支給、給付日数は90日〜330日の間です。離職時の年齢と離職理由によって異なります。

再就職手当と就業促進手当

再就職手当は、再就職先が決まった時点で基本手当の支給日数が1/3以上残っている場合に支給されます。加えて、就業促進定着手当は、その再就職手当を受け取った方で再就職後半年間に支払われた1日あたりの給与が以前の職場より少ない場合に、その差額を支給する手当です。

教育訓練給付金

教育訓練給付金とは、厚生労働大臣の指定した教育講座を修了した場合にその費用(入学費と受講費)の一部が支給されるものです。

実は、教育訓練給付金失業中の方だけでなく在職中の方も利用ができます。中には、介護や看護に関するスクールだと70%も支給されるものもあります。

ただし、雇用保険を同一事業者から1年以上被保険者となっていること。そして、過去3年間で教育訓練給付金を受給したことがある方は利用不可能等。労働者の状況によって給付を受けられるかの細かな条件が存在するので労務担当者は明確に知っておくべきです。

育児休業給付金

育児休業給付金とは、休業前の給与の67%(育児休業開始から半年経過後は50%)を支給する制度です。

子どもが1歳(パパママ育休プラス制度を利用する場合は1歳2ヶ月)になるまで受給可能で、復職後の預け先(保育所)が見つからないなどの事情がある場合は最長2歳まで延長できます。

介護休業給付金

休業前にもらっていた給与の内67%が支給されます。介護の対象となる家族1人につき93日間で最大3回まで受給が上限です。

技能習得手当

技能習得手当とは、ハローワークからの指示で公共職業訓練を受講する場合、技能習得手当として受講手当と通所手当を支給するといったものです。技能習得手当には、受講手当、通所手当、寄宿手当があります。

状況別雇用保険の手続き方法

この章では、労務担当者が実際に雇用保険に関してどんな手続きをすればよいか、雇入れ、離職、転職の3つの状況別に詳しく説明していきます。

従業員を雇入れする場合の手続き

従業員を雇入れした場合、翌月10日までに事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

雇用保険被保険者資格取得届とは、個人番号や年齢等従業員についての個人情報を詳しく記載する書類です。ハローワークで掲載されている雇用保険被保険者資格取得届の様式は定期的に変更されているので、手続きの際は都度更新されているか見ておきましょう。

また、初めて雇用保険に加入する場合を除いて、過去に働いていた企業で発行された被保険者番号が必要です。被保険者番号は従業員本人でも覚えていない可能性が高く、労務担当者は以前の勤務先に連絡し調べてもらう必要があります。

※出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者資格取得届 利用上の注意」

ハローワークに提出した後「雇用保険被保険者証」と「雇用保険資格取得等確認通知書」(被保険者通知用)が交付されます。通常、雇用保険被保険者証は企業が退職まで保管し「雇用保険資格取得等確認通知書」(被保険者通知用)は企業から従業員へ渡す義務があります。

従業員が離職する場合の手続き

従業員が離職した場合、労務担当者は「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を離職した翌々日から10日以内に事業所を管轄するハローワークに提出します。

離職証明書を提出する際には、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など、離職の日以前の賃金支払状況等を確認できる資料や、その他離職理由を確認できる資料の提出も労務担当者は求められます。

加えて、離職証明書の提出は従業員による自筆の署名が必要になるので、できるだけ在職中に手続きを済ませることです。

従業員が転勤する場合の手続き

雇用保険は事業所単位のため、他の事業所への転勤には書類提出が必須となります。

従業員が転勤する事実のあった日の翌日から10日以内に、転勤先となる事業所の管轄ハローワークに必要書類を届け出ます。
必要書類は異動辞令書類、賃金台帳、転勤前事業所に交付されている被保険者資格喪失届・氏名変更届です。

まとめ

雇用保険の加入条件は
  • 所定労働時間が週20時間以上もしくはシフト制で月87時間以上
  • 31日以上の雇用が見込まれること
  • 厚生労働省で定められた社会的立場に該当しないこと
上記3点を満たすことが必要です。

また、雇用保険は労働者の生活の安定と、再就職の向上、促進を図るため、失業給付や育児、介護、他にも在職中の方も使えるキャリアアップの補助金制度等さまざまな手当があります。

最後に、労務担当者に向けて雇用保険の取得、離職、転勤の3つから具体的な手続き方法を説明しました。
期限のある中で書類提出などの手続きを速やかにおこなう必要があり、管理も大変です。忙しい労務担当者の方には大きな負担ですね。

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HR-GET編集部

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