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2021年08月

2021.08.25

従業員が休業に!休業補償で適用される保険やもらえる給付金は?

従業員が何らかの理由で休業となる時、その対策は万全ですか?今回は休業自体の概念や、休業に対する公的補償の詳細、公的補償の範囲外をカバーしてくれる保険等について解説します。

更新日:2024年11月20日

【目次】

  • 休業の分類①:労働災害
  • 休業の分類②:自己都合
  • 休業の分類③:会社都合
  • 休業の分類④:天災事変
  • 休業補償とは
  • 休業手当とは
  • どんな保険が適用されるのか?
  • 誰にでも休業する可能性がある

社労法務システムの紹介

休業について

休業とは「労働者が会社との契約を結んだまま、業務を行わないこと」を指します。つまり、労働者に働く意思はあるのに働くことができない状況です。働くことができない状況とは、労働者の都合で働けない場合と、会社の都合で働かせることができない場合とに大別されます。

労働者都合による休業には、通勤時や勤務中に起こったケガや病気、出産などのケースが適用されます。会社側都合の休業には、自然災害といった不可抗力なケースもあれば、会社の過失による業績不振なども挙げられます。

また、「休業」と似たような言葉で「休暇」「休日」があります。

休業と休暇はどちらも「労働日だったはずの労働を免除する」意味を持ち、労働基準法が定める明確な違いはありません。
休日は、労働基準法によって「労働者が労働する義務のない日」と定められています。
この休日は原則として、1週に1日以上与えることとし、正式には「法定休日」と呼びます。(労働基準法第32、35条)

休業の分類①:労働災害

労働災害による休業とは、労働者が通勤中・仕事中にケガや病気になり働くことができなくなった場合に休業を行うことです。
働けない期間を補償するために労災保険から「休業補償給付」が給付されます。

また、ケガや病気にかかった治療費も労働災害の対象として補償されます。これは「療養補償給付」と呼びます。
労働災害に伴う休業補償や療養補償は会社が労働者に対して行わなければならない義務で、労働基準法に規定されています。

尚、労働災害は場合によっては労働者から損害賠償の請求をされることがあります。休業補償は労災保険から支払われます。ただし、実際は3日間の待機期間があるため、休業4日目以降に補償される仕組みです。待機期間である3日分は、事業主が労働者に直接補償を支払う必要があります。労働基準法第76条の規定に基づいて義務付けられています。

休業の分類②:自己都合

労働者の都合による休業には4つのケースがあります。それぞれ生活を補償する手当が給付される可能性があります。自己都合による休業は以下の4つです。

  • 疾病の療養による休業
  • 産前産後による休業
  • 育児による休業
  • 介護による休業

産前産後休業、育児休業、介護休業には、休業期間における会社の賃金補償は義務付けられていません。そのため、労働者は健康保険や雇用保険の給与補償を利用します。産前産後休業には「出産手当金」や「出産育児一時金」が、育児休業には「出生時育児休業給付金」や「育児休業給付金」が、介護休業には「介護休業給付金」があります。

疾病の療養による休業

労働者がケガや病気になり働くことができなくなった場合、療養に必要な期間に取得できる休業のことです。働けない期間を補償するために「休業補償給付」が給付されます。また、ケガや病気にかかった治療費も労災保険の「療養補償給付」を受けることができます。労働災害に伴う療養補償・休業補償は、会社が労働者に行うものとして労働基準法により義務付けられています。

産前産後休業

産前産後休業とは、妊娠中の女性が出産予定日の6週間以内、及び産後8週間に取得する休業です。労働基準法第65条で定められています。また、双子や三つ子など多胎妊娠の場合は、休業期間が長くなり14週間以内の申請が可能です。

補償には「出産育児一時金」と「出産手当金」があります。
出産育児一時金は、健康保険の加入者が対象です。※通常子供1人につき50万円が支給されます。

※令和5年4月より、支給額が42万円から50万円に引き上げられました

出産手当金は、勤務先の健康保険の加入者(本人)が対象です。産前産後休業の期間中もらえる1日あたりの金額は、直近の12ヵ月間の各標準報酬月額÷30日×2/3に相当する額になります。但し、休業中も会社が給与を支払っており、出産手当金よりも金額が多い場合は出産手当金は支給されません。尚、どちらの給付金も非課税です。
育児休業

育児休業とは、原則1歳未満の子供を養育する労働者が取得できる休業のことです。男女問わずに取得できます。
補償には※「出生時育児休業給付金」や「育児休業給付金」があります。雇用保険加入者が対象です。

※出生時育児休業(産後パパ育休)制度新設に伴い令和4年10月1日より施行されました

「出生時育児休業給付金」は、子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として、産後パパ育休(出生時育児休業、2回まで分割可能)を取得した場合、一定の要件を満たすと受けることができる給付金です。
支給額は、休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(28日が上限)× 67% で計算します。

「育児休業給付金」は、原則子供が1歳を迎える前日までの期間(パパ・ママ育休プラス制度の利用や保育所による保育がおこなわれない等の場合はまた異なる)までが対象期間で、支給額は休業開始前賃金の67%相当額です(但し、育児休業開始から6ヶ月以降は50%相当額となります)。

尚、どちらの給付金も非課税のため、所得税に含まれません。さらに労働者は受給中の社会保険料も免除されます。

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参照:

介護休業

配偶者・父母・子・配偶者の父母が介護を必要な状態にある、労働者が取得できる休業のことです。育児介護休業法(第12条)により、労働者が事業主に介護休業申出をした場合、事業主は拒むことができません。

補償には「介護休業給付金」があります。雇用保険に加入していて、介護のために2週間以上休業する場合に受けられる制度で、労働者は給与の67%を受給できます。また、対象家族一人につき最長93日を限度として3回まで受給できます。

休業の分類③:会社都合

会社都合とは、使用者の責に帰すべき事由による休業のことです。
具体的には、機材のトラブルで作業が出来なかった場合や、在宅勤務で対応が可能と見受けられたのに行わなかった場合などがあります。ただし、地震や災害などの不可抗力による場合は除きます。

会社都合の休業において、事業主は労働者に「休業手当」を支払わなければなりません。労働基準法26条で定められており、平均賃金の60%以上の賃金を支払う義務があります。

休業の分類④:天災事変

天災事変による休業とは、地震、台風、風水害など不可抗力によって事業の継続ができなくなった場合の休業です。不可抗力とは「その原因が事業の外部より発生した事故であること」「事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること」の両方を満たすものとされています。

この場合、事業主は労働基準法第26条の休業手当を支払う義務はありませんが、労働者の不利益を回避するように努力することが大切です。

休業補償と休業手当の違い

休業内容によって「休業補償」「休業手当」のどちらが適用されるか変わります。
どちらも休業中の給与を補償するものという意味では同じですが、実は全くの別物です。

従業員が思わぬ状況へ発展した場合に備えてどんな違いがあり、どんな場合に支払うのかを理解しておきましょう。

休業補償とは

休業補償とは、労働者が業務上の負傷や疾病によって休業した場合に支払われる補償です。

補償金額は賃金の60%と決まっており、課税の対象ではありません。
また、労働基準法第76条で「労働災害による休業の補償は事業主が行う」と義務付けられています。しかし、会社の規模や経営状況によっては、義務付けしていても従業員の救済が厳しい場合があります。そのため事業主は、労災保険に加入しなければなりません。労災保険は日本の公的保険制度であり、従業員を一人でも雇用した段階で加入は義務付けられます。事業主は労災保険を使って従業者に休業補償を支払います。

休業手当とは

休業手当とは、会社の都合で労働者を休業させてしまった場合に支払われる賃金です。一般的に、経営不振や設備の不備などにより休業する場合が「会社都合の休業」に該当します。

支払い金額は労働基準法第26条で定められており、平均賃金の60%以上とされています。ただし、労働義務のない日(就業規則で休日となっている日)の休業手当は支払われません。なお、賃金という扱いなので所得税がかかります。

また、休業手当は義務付けられているため、支払わない事業主は労働基準法に違反したとして罰金30万円が課せられます。

万が一の休業に対して保険が有効

業務上のケガや病気などの休業リスクは、従業員だけでなく経営者本人にもあり得ることです。そのため、万が一のことを考えて、公的補償(休業補償)以外の補償も準備しておくべきです。また、休業補償だけだと給与の60%しか補償されません。結果、従業員の生活水準を落とすことになります。そうならないためにも保険の加入がおすすめです。加入すれば、セーフティネットのない自営業者の方も安心できます。

どんな保険が適用されるのか?

所得補償保険や就業不能保険が適用されます。
働き方によって契約内容が異なるため、法人と従業員、双方にも対応します。

法人向け、従業員向けそれぞれの一般的な補償内容は以下の通りです。

法人向け

天災や事故で休業せざるを得なくなった場合に、事故から復旧までに生じた粗利益の損失、家賃の損失を補償します。

従業員向け

GLTD(団体長期障害所得補償保険)で従業員の福利厚生を充実させることができます。GLTDとは、ケガや病気で休業せざるを得なくなった従業員が被る所得の損失を、定年年齢等まで長期にわたりカバーできる保険です。企業の従業員数ごとに加入することで、人事労務担当者向けや従業員向けといった多数のサービスも受けることができます。

誰にでも休業する可能性がある

病気やケガをして休業する可能性は、従業員・経営者にかかわらず、誰にでもあります。
また、身体的な疾病だけでなく、うつ病などの精神的な病気にかかる可能性もあります。

とくに、精神病は療養期間が人によってさまざまです。療養期間が長くなればなるほど、休業日数が増える一方で、収入は減ります。最悪のケースに備えて、長期療養に対応している保険への加入がおすすめです。

まとめ

業務上負ってしまったケガや病気による休業中に支給される「休業補償」。会社都合で従業員が休業する場合に支払う「休業手当」。また、「所得補償保険」や「就業不能保険」などの保険。それらに関する知識がなければ、いざという時に適切な対応が出来ないかもしれません。

大切な従業員を守るため、また会社の経営を守るためにも、制度の把握とGLTDのような保険の加入を検討しましょう。

社労法務システムの紹介

HR-GET編集部

 HR-Get(エイチアールゲット)は、創業から30年以上にわたり、社会保険労務士の方や、企業の労務ご担当者様向けにシステムを開発・提供・サポートをしている株式会社日本シャルフが運営するWEBメディアです。
「人事、労務、手続き、働き方改革、トラブル」などに関するものをテーマとし、人事・労務に関わるビジネスに日々奮闘する、多忙な経営者や人事・労務の担当者に役立つ情報を提供します。

2021.08.19

【社労士に聞く】社会保険料の徴収月はどのように判断する?

 社会保険手続きQ&A 社会保険料の徴収月はどのように判断すればいいでしょうか?

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質問

当社の給与は月末締めの翌月10日払いなのですが、1日入社でも月途中入社でも、その月の給与(4月入社ですと5月10日支給分)より社会保険料を控除しています。当社は保険料を当月徴収している会社となるのか、支給日を見て翌月に控除していると考え、保険料を翌月徴収している会社となるのかどちらになるのでしょうか。

社労士の答え

社会保険料の控除月については、支給月で当月徴収か翌月徴収かを判断します。ご質問の例ですと、4月分給与が5月10日支給で支払われ、この時から控除が開始されるのであれば、翌月徴収となります。

社会保険料の納付・徴収の原則(健康保険法第156条、厚生年金保険法第81条)

 毎月の保険料は、被保険者の資格を取得した月から、その資格を喪失した月の前月までの分について月単位で納付します。
 ・加入した日が月の途中であってもその月分から保険料が徴収されます。
 ・月の途中で資格喪失した場合は、最終の月分の保険料の納付は必要ありません
 ・月末退職の場合は、資格喪失日が翌月1日になるため、退職月の保険料が徴収されます。
 ・同一の月に被保険者資格を取得・喪失した場合は、その月は1ヶ月分の保険料が徴収されます。

給与からの社会保険料控除の原則

給与からの社会保険料控除の原則(健康保険法第167条、厚生年金保険法第84条)
  • 事業主は、被保険者の当月分の給与から前月分の被保険者負担分の保険料を控除することができます。
  • 事業主が控除できる保険料は前月分に限られ、遡って数か月分の保険料を控除することはできません。
  • 入社月の保険料も翌月控除となるため、資格取得月の給与から控除することはできません。
  • 月の途中での退職の場合は、前月分のみの控除となります。
  • 月末退職の場合は、翌月1日が資格喪失日のため、前月分と退職月分(当月)の2か月分を、退職月の給与から控除することができます。
  • 同一月の資格取得・喪失の場合、資格取得月分の保険料が発生するため、控除することができます。

社会保険料には日割りという考え方がありません。

末日に加入していれば、何日に資格取得しても納付額は丸1か月分になります。場合により給与は日割りでも社会保険料は1か月分控除となり、手取り額に大きく影響することもあります。

【人事の視点】入社・退職時の給与処理についてアナウンスしておきましょう。

給与の締・支払によって社会保険料控除の開始や退職時の最終徴収が異なります。当月徴収や翌月徴収といっても、従業員はピンとこないものです。特に退職時、最終給与は保険料を2ヶ月分徴収や退職時期によっては住民税の一括徴収が適用となるなど、通常より手取り額が少なくなるケースがあります。退職説明の際に、給与天引きする内容を伝えておくとよいでしょう。
かつて保険料を2ヶ月徴収した際に「何故こんなに振込み額が少ないのですか?」と問い合わせを受けた事がありました。普段から給与処理や社会保険の仕組みを知った上で業務にあたっていると当たり前のことですが、従業員にとっては初めてのこととなる場合もあります。後々問い合わせがないように事前にアナウンスしておくとよいでしょう。

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筆者紹介

社会保険労務士法人 HALZ(https://halz.co.jp/

「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。

2021.08.08

テレワーク下での人事評価はどうすればいい? 大事なポイントをお伝えします。

 採用難の今、優秀な人材を確保し企業力を高める戦略の1つとして注目され始めたテレワーク。新型コロナウイルス感染症対策として後押しをされ、さらに急速に普及しました。その一方で、テレワーク環境下における課題も浮き彫りになりました。

その中でも特に、コミュニケーションの減少と、実際に働いている姿をあまり見ることなく「人事評価」を行うことの難さが、マネジメント層(経営者やマネジャー)を悩ませているようです。そんな厄介なテレワークですが、離職防止と人材確保、営業効率の向上、通勤やオフィスの維持費などのコスト削減、企業イメージの向上などのメリットも多く、できることなら活用していきたい戦略でもあります。そこで本記事では、「テレワーク環境下における人事評価制度」に、どのような課題があるのか、また、どうすれば上手く運用ができるのか、ご一緒に考えていきたいと思います。是非、参考にしてください。

テレワークをきっかけに人事評価制度を見直す必要性

そもそもテレワークとは、「報通信技術を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態」を指します。テレワーク下では、働く場所や時間がバラバラとなり、メールやテレビ会議をつないだところで働く態度は不透明、やり方を間違えれば「頑張っていても頑張っていなくても分からない」状況を引き起こしてしまうのです。
つまり、テレワークはその性質上、同じ空間で働くスタイルと比べてその姿が見えづらく、従来のように「働きぶりを見て評価する」という手法では太刀打ちできないものとなっています。
この状況が続けば、マネジメント層のスタッフに対する疑心暗鬼は加速し、頑張っているにも関わらず疑われたスタッフはやる気を失ってしまいます。そうならないためにも、テレワークに対応する人事評価制度の再構築が必要不可欠なのです。

テレワーク下での人事評価は本当に特殊で難しいのか?

ただ、テレワークに対応する人事評価制度をつくるとしても、「テレワーク下での評価は、特殊だから難しい」と思われがちです。しかし、それは勘違いかもしれません。なぜなら、テレワーク下の人事評価も、オフィスワーク下の人事評価も、成功させる本質はほとんど変わらないからです。
それを、ご理解いただく意味でも、テレワーク下で生じると予測される人事評価の課題を考えてみたいと思います。例えば、以下のようなものがあげられるでしょう。

<テレワーク下で生じる人事評価の課題>

  • 評価にばらつきが生じる
  • コミュニケーションの偏りや不足によって、スタッフの頑張りを適正に把握できない
  • スタッフの勤務態度や仕事ぶりが直接把握できない
  • スタッフのモチベーションや感情といった業務外の面が把握できない
  • 成果につながる行動(工数、内容など)を細かく把握できない
  • スタッフがその日に取り組んでいる業務はどのようなものか分からない
ここで見直していただきたいことは、今出した課題は本当にテレワークだけが原因なのか、ということです。
確かにテレワーク下ではスタッフの働きぶりを直接見ることは困難です。しかし、オフィスワーク下だからといってスタッフの働きぶりをまじまじと見続けていられるかというと、難しい会社の方が多いのではないでしょうか。
マネジメント層が多忙な会社を考えれば、コミュニケーションの量はテレワーク下でもオフィスワーク下でも大して差がないなんてこともありうるのです。そう考えると、実は上記の課題は、テレワーク下において露骨に出てくるものではあるものの、オフィスワーク下でも起こりうる課題なのです。
つまり、これらの課題の真の原因はテレワークではく、評価のやり方やマネジメントの方法にあるのです。この原因を解決できれば、テレワーク下での評価は決して特殊で、難しいものではないのです。

テレワーク下の評価を成功させるために知っておきたい、評価とマネジメントのコツ

では、いったいどうすればテレワーク下での人事評価を成功させることができるのでしょうか。その答えの1つとして、評価のやり方とマネジメント方法をご紹介します。
(1)評価のやり方
テレワーク下では途中経過や働きぶりをじっくりと観察することができないからこそ、働きぶりではなく、働いた結果、つまり目に見える成果で評価をすることが有効です。これを実現させる評価の仕組みが「目標管理制度」です。
「目標管理制度」とは、スタッフが一定の期間で、どんな成果を出したいと考えているのかを明確にし、上長の期待する成果とすり合わせた結果合意したものを目標として設定。一定期間の後に、成果を確認しその達成度合いを評価するというやり方です。このように、あらかじめ「成果の明確化」をしておくのです。これは、働く側にとってもマネジメント層にとってもメリットがあります。働く側にとっては、やるべきことが明確になって働きやすくなりますし、マネジメント層にとっては、目標管理や達成の支援がしやすくなるからです。
ただ、「成果の明確化」と聞くと、数字といった定量的なものをイメージされて、数値化できない仕事については「成果の明確化」が難しい、というご相談をいただくこともあります。しかし、ご安心下さい。一見「成果を明確化」しにくい仕事でも、工夫次第で成果を明確化することは可能なのです。例えば、マニュアルをつくること、社内テストに合格する、残業時間を月○時間に抑える、提案書のフォーマットを完成させる、ロープレを実施する、など数値化せずとも「成果の明確化」することが可能なのです。
この技術を身に着けさせすれば、テレワーク下においても、忙しくてスタッフのことをずっと見ていることができない環境においても、成果を見れば正しく評価をすることができるようになります。是非、チャレンジしてみてください。
(2)マネジメント方法
成果を明確にすることで、先にあげた課題の一部(評価にばらつきが生じる、スタッフの頑張りを適正に把握できない、仕事ぶりが直接把握できない)は解決に向かいます。
残りの課題は、状況(業務の状況や本日の仕事内容など)の把握です。これは、報告と相談のタイミングを仕組み化することで対応していきます。報告のタイミングを仕組み化する一例として、
「テレワーク開始前に、テレビ会議を活用し、本日の業務予定を報告し合うミーティングを実施する」
「毎週月曜日の朝は業務の進捗を報告し合う」
「自分の抱えているタスクを一覧にし、クラウドに上げて誰もが見れるようにしておく」等が考えられます。
また、相談のタイミングの例としては、
「月に1回、1対1の面談を実施し、目標達成に向けたアドバイスや支援をする」
「テレワーク中は画面をオフにした状態で、テレビ会議をつなげ続けておき、必要な時に声掛けができるようにする」等があるでしょう。つまり、報告と相談のタイミングや方法についてスタッフの合意を取り、それを着実に実行することがポイントなのです。

あなたも、スタッフも気持ちよく働くために、ひと手間を惜しまない

上記の内容は、もしかすると手間に感じるかもしれません。
しかしあなたも、スタッフもお互い気持ちよく働くために、このひと手間を大切にしてみてください。わざわざ目標を立てなくても、成果を明確にしなくても、働きぶりを見て評価を決めるほうが手っ取り早いかもしれません。
しかし、それでは評価をされたスタッフがマネジメント層の好き嫌いで評価が決まると錯覚したり、公平さを感じることができない評価に不満を持つことがあるかもしれません。
また、成果を明確にしないことで、スタッフに期待値が伝わらず、マネジメント層が期待する成果が一向に出てこないストレスに苦しめられることもあるでしょう。
そうならないためにも、マネジメント層とスタッフとの間で、一定の期間でどんな成果を出すのか(出して欲しいのか)を明確にする必要があるのではないでしょうか。確かに手間がかかるかもしれませんが、あなたとスタッフの双方が気持ちよく働くためには、このひと手間が大切にして欲しいのです。

まとめ

スタッフがテレワークをするにせよ、オフィスワークをするにせよ、イキイキと健やかに業務を遂行することができるよう、ひと手間をかける。その想いはスタッフに届き、公平な評価が安心とやりがいを生み、スタッフのモチベーションアップにつながるのではないでしょうか。
本日は以上となります。ご一読いただきまして誠にありがとうございました。
<作者紹介>
株式会社ブレインマークス 今泉 勇太 コンサルティングサークル所属。
中小企業の成長に必要な「人事評価・給与制度」、「経営計画の策定支援」「業績管理の仕組み化」「組織力向上による業績向上」を得意としている。多くの社長から「会社のことを真剣に考えてくれる右腕が一人増えた!」と評価が高い。
https://www.brain-marks.com/

2021.08.04

【社労士に聞く】社会保険の扶養追加の条件とは?

労務相談Q&A 同居の姪は扶養に入れることができるか?

<質問>

同居している兄が会社を退職し無職になったので、今まで兄が扶養に入れていた兄の高校生の娘(姪)を扶養に入れたいと考えています。兄には配偶者はおらず、姪とも同居をしています。

この場合、扶養に入れることは出来ますでしょうか?

<社労士からの答え>

姪御さんは、「同居している3親等内の親族」に該当しますので、被扶養者の範囲には該当します。

収入がある場合には、基準により被扶養者として認定できるかの判断をします。協会けんぽと健保組合では基準が異なる場合がありますので、加入している保険者に問い合わせて確認した方がよいでしょう。健康保険上の被扶養者の範囲には、被保険者と同居である必要のない人と同居であることを条件とする人がいます。
※後期高齢者医療制度の被保険者を除く

<同居である必要のない者>

①配偶者(事実上婚姻関係と同様の者を含む)  ②子(養子を含む),孫,兄弟姉妹 ③父母(養父母を含む)等の直系尊属

<同居であることを条件とする者>

①3親等内の親族(義父母等)※上記に該当する方を除く ②配偶者で、事実上婚姻関係と同様の者の父母および子
③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子

被扶養者として認定されるには、主として被保険者の収入により生計を維持されていることが必要です。
認定については、以下の収入の基準があります。

(1)同居である場合

 認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満の場合は、被扶養者に該当します。この「130万円未満」という金額は、60歳以上または、障害厚生年金に該当するほどの障害がある人の場合は「180万円未満」と金額が緩和されます。また、年間収入が130万円未満で被保険者の収入の2分の1以上の場合は、被保険者の年間収入で生計を維持していると認められれば、被扶養者となることもあります。

(2)同居でない場合

 認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ被保険者から受け取っている援助(仕送りなど)の合計額よりも、年間収入が少ない場合は被扶養者に該当します。


※1.被保険者による生計が維持されている事実が証明されれば、収入が被保険者の1/2を超えても扶養認定される場合がある

<国内居住要件>
改正後の健康保険法第3条第7項に定める「住所」については、住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で 判断し、住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされます  (ただし、留学する学生や外国赴任の被保険者の同行者などの例外を除く)

人事の視点

添付書類の確認と対象者への周知を行うことにより、扶養追加の手続きをスムーズに進めることができます

健康保険扶養手続きで「130万円の壁」という言葉をよく耳にすると思います。扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つがあり、税法上の「所得」と社会保険上の「報酬」では、年収の捉え方が異なりますので注意が必要です。

かつて配偶者の税扶養は所得金額103万円以下とされており、「税扶養」=「社保扶養」がほぼ成立していましたが、2018年の税制改正により配偶者の年収が103万円~150万円までなら基礎控除が受けられるようになり、社会保険も2016年の適用拡大により年収が106万円程度になると加入要件該当、「税扶養」≠「社保扶養」という状況が発生するようになりました。

加入時や扶養調査実施時に現況書が提出されるのでその状況を把握し必要な添付書類を伝えると手続きがスムーズになります。現況書の内容によっては添付書類が追加される場合もあるので各保険者に確認するといいでしょう。認定が下りない場合もあることも伝えておきましょう。 

また、認定手続き中に医療機関を受診したい場合、資格取得証明書が発行されないと医療費の立替が発生します。立替後の手続きの流れや領収書等の必要を従業員の方に案内しておくといいでしょう。

<筆者紹介>

社会保険労務士法人 HALZhttps://halz.co.jp/

「外部人事部」をコンセプトに幅広い人事領域をサポートする社労士法人です。企業人事の実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、実務家目線に立ち企業様をサポート。

給与計算や手続きを通じ把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手掛け、企業人事の皆様を幅広く支援します。


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